アスリート voice【ローイングマシーン競技 パラID部門 初の海外遠征で金メダル獲得!|丸本 拓郎|障がい者就労支援事業所らくわ 利用者】

アスリート voice【ローイングマシーン競技 パラID部門 初の海外遠征で金メダル獲得!|丸本 拓郎|障がい者就労支援事業所らくわ 利用者】

ローイングマシーン競技 パラID部門 初の海外遠征で金メダル獲得!

障がい者就労支援事業所らくわ 利用者
丸本 拓郎(まるもと たくろう)

経歴

滋賀県出身。養護学校を卒業後、自立支援施設で2年間の訓練を受ける。2018年4月より、障がい者就労支援事業所らくわに通所。16歳から始めたボート競技に夢中となり、練習を重ねて全国大会の常連に。2019年3月、タイのバンコクで行われたローイングマシーン競技 パラID部門に日本代表として出場し、金メダルを獲得した。

※2019.6.10時点

今回の「アスリートvoice」は特別編として、当会の障がい者就労支援事業所らくわに通所されている、パラローイングの丸本拓郎選手をご紹介します。

レンタル福祉用具をきれいにしています

障害のある方に就労の機会を提供し、必要な知識や社会適応能力、コミュニケーションスキルの向上を目指して職業訓練を行う、障がい者就労支援事業所らくわ(以下らくわ)。「2019アジアインドアローイング選手権大会」で金メダルを獲得した丸本拓郎さんは週5日、1日5時間ここへ通い、レンタル福祉用具の消毒や梱包作業を行っています。作業台に置かれた介護用ベッドを小さな歯ブラシで丁寧にこすり、クロスを使って磨き上げる。汚れが残っていないか、台の高さまで目線を落として確認。少しカメラを意識しながらも、精悍(せいかん)な顔つきで黙々と作業に取り組む丸本さんと同席いただいた母・公未子さん、らくわ職員・谷本公子にお話を聞きました。

これだ、見つけた!

「ずっと、何かを探していたんです」と穏やかな笑顔で話す公未子さん。水泳、陶芸、絵画、習字…。生涯を通じて取り組めるものを見つけてあげたいと、小さい頃からさまざまな場所に顔を出していましたが、興味がなかったのかどれも続きませんでした。そんな中、家族で訪れた琵琶湖のボートクラブで運命的な出会いが訪れます。初めてボートに触れ、今までにない目の輝きを放つ丸本さんを見て、ご両親は「これだ!」と思ったそうです。

悔しい気持ちがあふれだして

所属する「琵琶湖ローイングCLUB」には、それまで身体障がいのある方はおられましたが、知的障がいのある選手は丸本さんが初めてでした。「初日から、とても自然に指導してくださったんです。障がいがあっても、あかんことは、あかんって。それがすごくありがたかったです」と、公未子さんは懐かしそうに5年前を振り返ります。4人の漕ぎ手にコックスという指示を出すポジションが1人、計5人でボートに乗り込み、タイムを競うローイング。「しばらくして出場した初めての大会では、波が強く、新人のクルーばかりだったこともあってゴールできなかったんです。そしたら、ボートを降りた拓郎がこぶしを胸に当てて『悔しい』って表現して。それまで、そんなにも気持ちが表に出ることがなかったので驚きました」。そこから、丸本さんの変化が少しずつ現れてきます。

仕事もボートも一生懸命

自分から「ジムに行って体を鍛えたい」と言って、支援員とプールや障害福祉センターのジムに通うようになり、今ではらくわでの仕事の後、週に2回ほど体を鍛えている丸本さん。健常者のチームメートに交じって出場する大会で、メダルが取れるようになってくると、ますます競技が面白くなっていきました。1年ほど前からはエルゴメーター(※)の教室にも通い始め、自宅でもほぼ毎日自主トレーニングを行っています。整体師であるお兄さんのサポートを受け、体のメンテナンスも怠りません。変化は仕事面でも少しずつ現れてきました。「最初の頃は、一つの作業に取り組むことが難しくて。でも、この1年で驚くほど成長しました。指示がなくてもできることが増えたし、特に午前中の集中力は目を見張るものがあります」と谷本も目を細めます。

※エルゴメーター…ボート運動を陸上で行えるトレーニング機器

一歩ずつ、自信と誇りを

そして、3月末。らくわで働く仲間の応援を受け、初めての海外試合となる「2019アジアインドアローイング選手権大会」に出場するためバンコクへ。「暑さと緊張から水を飲み過ぎてしまい、試合中のペースも少し乱れて…」。反省する部分もあったと言いながら、見事に金メダルを獲得しました。日本選手団の他の試合でも大きな声を出し、応援し続けた丸本さん。公未子さんは「もちろん競技中もそうなんですけど、試合の合間に成長を感じます。国内の試合で顔見知りになった人にあいさつに行ったり、自分から話し掛けたりするようになったのは、らくわでの仕事とボートのおかげです」と息子の変化を喜びます。アスリートチームに在籍し、厳しい結果に悔し泣きすることもあるそうですが、「やめたいと思ったことはありますか?」の質問に、力強く「ない」と答えてくれた丸本さん。その表情に自信と誇りがちらりとのぞいていました。仕事もボートも、繰り返しを積み重ねて一歩ずつ。人との出会いを大切に、これからも丸本さんの挑戦は続きます。

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障がい者就労支援事業所らくわ(就労移行支援・就労継続支援B型)
〒520-0063 滋賀県大津市横木2-5-5
TEL:077(510)0112
月~土曜日:午前9時30分~午後3時30分
※日曜日・祝日・年末年始(12月30日~1月3日)を除く

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