急性期から慢性期までを担う、地域の中核病院である洛和会音羽病院では、高度な医学知識と技術を持ち、医師の監督・指示の下で、診療にあたる診療看護師が3人在籍しています。医師と看護師の中間的な役割を担い、やりがいを持って働き、活躍する姿を紹介します。
(NP:
)とは
患者のQOL(生活の質)向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき診療を行うことができる看護師です。医学と看護を統合した治療プランの提案、検査や薬の代行オーダー、患者教育など幅広い医療サービスを提供し、チーム医療の一翼を担います。医療現場において、患者の健康管理を総合的にサポートする役割があります。
洛和会音羽病院 連携医療課
副主任 向井 拓也(むかい たくや)
Profile ─
2007年~ 2012年 |
他院で看護師として勤務 |
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2013年 | NPを目指して大学院修士課程に進学(長期履修を利用し、3年間) |
2016年~ 2023年 |
他府県でNPとして主に総合内科で勤務 |
2024年 | 洛和会音羽病院に入職し現在に至る |
スキルアップを目指して
看護師として5年が過ぎた頃、看護の面白さ・やりがいを深め、看護の可能性を広げたいと大学院の進学を考えるようになりました。その時期に米国のNPを参考にして、看護師の自律的な判断で、ある一定の診療を行うNPの養成が始まったことを知りました。日本にNPの働き方が根付いていくのかという不安もありましたが、挑戦することへの期待の方が高くNPの世界に飛び込みました。
看護と医学の両方の視点を持つ
現在は、総合内科の病棟で担当医と共に患者さんの入院から退院までの病棟管理を行っています。診察時には、看護師の視点で患者さんの生活背景を詳しく把握して入院の主病態の原因を考えたり再発予防などの患者教育にも力を入れています。このように看護と医学の両方の視点で患者を捉えることで、治療・ケアの幅と深みが増すだけでなく、個別の治療のゴール目標を設定することができるようになり、その結果、満足度の高い医療サービスの提供に結びついていると実感しています。
細やかな医療サービスの提供につなげるためにNPの認知を広げたい
2024年4月時点で、全国で872人のNPが活動していますが、医療業界でもまだまだ認知度が低いのが現状です。現在働いている洛和会の職員はもちろんのこと、外部に向けても講演や学会・論文発表などを通してより多くの方に認知してもらえるように活動しています。 さらに超高齢社会が進む日本において、地域の医療ニーズに応えていけるように実践を続けていきたいと考えています。
洛和会音羽病院 臨床研修科
中路 恵果(なかじ けいか)
Profile ─
2016年 | 看護師として他院にて約6年間勤務(循環器病棟・ICU・ER) |
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2021年 | NPを目指し大学院のナースプラクティショナー養成分野に進学 |
2023年 | NPとして洛和会音羽病院に入職し現在に至る |
看護師が医学を身に付ければ
看護師5年目、ICUに勤務していた時、今後のキャリアについて悩んでいました。患者さんの性格や価値観、個性、病気との向き合い方などを把握しながら患者さんを支える看護師が、一定の医学を体系的に学ぶことで、より質の高い診療・看護の提供につながるのではないかと考え、NPを目指しました。
医師や多職種をつなぐ懸け橋として
私は現在、臨床研修科で卒後研修を行っています。 NPには、ベースに「生活者として人を看る」視点があり、その上で対象者を「患者として診る」ことができるため、患者さんの日々抱える問題点を広く捉えることができます。その上で、多職種連携の懸け橋となることが重要な業務の一つだと考えています。医学的な介入のみでは手詰まりとなっていた患者さんへ、多職種で取り組み、その舵取りをしてチームアプローチを行ったことで状態が快方に向かったケースを複数経験してきました。広い視野で患者さんの問題点を捉え、多職種それぞれの強みを知り、適切な職種と連携してアプローチをすることで、医療はより個別性があり質の高いものになると考えています。
また、日々の回診や病棟看護師や多職種との情報交換の中で患者さんの異常を早期発見し、一定レベルの診察・介入を行い、医師と共有して診療を進めることで早期対応につながった症例も経験しています。医師不在時にも早期に一定レベルの適切な診療を提供することもやはりNPとして重要な役割の一つだと感じています。
今後も“人を看て、診る”NPの特性を活かしてさまざまなニーズに応えながら、PICCチーム※の構築などを含め、NPが担うことのできる看護と医学を統合した介入を幅広く実践していきたいです。
洛和会音羽病院
内分泌・糖尿病内科
副主任 廣瀬 久美(ひろせ くみ)
Profile ─
1997年~ | 看護師として、2003年~正看護師として他院にて勤務 |
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2008年 | 日本糖尿病療養指導士 取得 |
2013年 | 糖尿病看護認定看護師 取得 |
2016年 | NP取得後は、訪問診療所、急性期病院(総合診療科)、大学院(NPプログラム)教員などに従事 |
2024年 | 洛和会音羽病院に入職し現在に至る |
糖尿病看護認定看護師+NPとして
私は看護師の臨床経験の半分以上を糖尿病看護に注いできました。専門性は高くなったものの、少子高齢社会や、複数の併存疾患を持つ患者さんへの対応などを鑑みて、ジェネラルな視点を持ちたいと考えてNPになりました。しかし、活動する中で、自分の専門性を活かして “糖尿病をもつ生活者”に対応できるNPでありたいと考えるに至り、内分泌・糖尿病内科に所属を希望しました。
山科区も例外なく糖尿病をもつ生活者が多いのですが、それに対して糖尿病専門医の数は少なく、当院では基幹病院の立場上、血糖マネジメントが困難な背景の患者さんが印象に残っています。さまざまな難しさがあっても、どうすればいいか考え、諦めないマインドを持ちながらNPの視点で、包括的に関わっていきたいと思っています。
多職種連携を礎に専門性を高める ★Thank you for the Collaboration★
当院には、しなやかな推進力のある糖尿病内科の先生方をはじめ、糖尿病委員会に携わる多職種のスタッフの情熱や、根気強く患者さんと向き合う看護師、医療安全チーム、柔軟な連携役の事務スタッフなど多くの職員の存在があって、「最強」な糖尿病チームが生み出されており、私自身もチームのみんなに支えられていると感じリスペクトしています。NPの役割を創出して、糖尿病看護を極められるよう、地道に挑戦し続けます。
洛和会音羽病院では、診療看護師を募集しています。 (洛和会音羽病院 看護部サイト)
公開日時 : 2025年02月04日 (火)