洛和会自転車クラブから自転車競技世界一へ
洛和会音羽病院 秘書課
Sandu Ionut(サンドゥ ヨノツ)
経歴
ルーマニア出身。2010年に洛和会ヘルスケアシステムに入職。
当会の自転車クラブRAKUWAKAI BiCYCLE CLUB所属
2016年にスタートしたグルメライドから、競技者へ。
2018年国内アマチュアエリート選手に登録。実業団にも所属し数々の大会に参加。
実績
2018 Shimano Suzuka Road Race タイムトライアル3位
2019年富士ヒルクライムシルバーメダル(75分以内完走)
2021年実業団エリートツアー20位
2021年実業団クリテリウム10位
2021年実業団マスターズツアーリーダー
2022年実業団マスターズツアー現在3位
2022年 UCI Gran Fondo World Series Championships(世界選手権)
タイムトライアル ニセコクラシック大会 優勝
※2022.8.23時点
自転車競技との出会い
洛和会音羽病院 秘書課へ配属された後、仲良くなった医師から「音羽で自転車チームをつくらないか?」と誘ってもらい、上司に自転車を譲り受けたことがきっかけで、当会のクラブ活動「洛和むつみ会クラブ」の自転車クラブRAKUWAKAI BiCYCLE CLUBに入ったのが今から6年前。グルメライドからスタートし、練習していくうちに夢中になり、自転車競技が生活の一部となっていきました。パワーと体力には自信があったのですが、初めは皆のスピードについて行くだけで必死でした。
RAKUWAKAI BiCYCLE CLUBの仲間と
数々の大会へ出場するようになり、ますます自転車競技にのめり込んでいきました。特に思い出深いのは洛和会のチームで大会に出場したこと。一人では味わえない楽しさがあり、すごくエキサイティングな経験でしたね。
現在はコロナ禍で集まっての交流はできていませんが、個別練習、オンラインでのライド相談などでつながっています。
まさか自分が!? がんの発見
以前はタバコを吸っていましたし、すごく太っていて体重も94㎏程ありました。自転車を始めてからタバコも吸わなくなって、体重も自然に減っていき、約12㎏も減量できました。
ある朝、髭を剃っていたら、喉の皮膚の下に小さなできものを発見。当院の耳鼻咽喉科・頭頸部外科 部長 荒木倫利先生に相談したら、すぐに検査するよう言われ生検を受けた結果、悪性がんと言い渡されました。ものすごくショックを受けましたが、幸いにも早期発見のためすぐ手術すれば治るとのことで、仕事も普段の生活も、自転車も続けられると、絶望から希望へ気持ちを切り替えることができました。体力も落ちることなく、手術後一週間で普通に運動できるほどに回復。対応してくださった先生には心から感謝しています。
病院に勤めていたことと、自転車の練習で痩せたことが幸いしました。あのまま太っていたら、喉の異変には気付けず、命を落としていたかもしれません。
当会スタッフとの運命的な出会い
病院に勤めているとさまざまなメリットがありますが、中でも洛和会音羽リハビリテーション病院 整形外科の奥平先生との出会いは特別でした。日本スポーツ協会公認スポーツドクターでもあり、有名なスポーツ選手の主治医もされている奥平先生に、ケガの予防・管理・相談・対策から、痛みのコントロール指導、ドーピング違反にならない薬物療法など、アスリートには欠かせない重要なサポートをしていただいています。また、疲労骨折も発見していただき、今シーズンが終わったら、手術を受ける予定です。
また、同病院の理学療法士の森下さんにもサポートしていただいています。実は腰痛を発症してしまったのですが、その原因の一つが業務で使用するデスクとイスとのこと。外国人である私にとって日本規格のデスクとイスは体に合っていなかったらしく、私の体に合ったイスの形なども調べて教えてくださり、そのことを上司に相談し調整してもらうことができました。また仕事中の姿勢や普段の歩き方についても指導いただき、その通りにしていると、腰痛がどんどん改善していきました。
奥平先生と森下さんが密にコミュニケーションをとり連携してサポートしてくださるので、患者として安心して治療を受けられています。いつも本当にありがとうございます。
自転車競技を通じて得たもの
まずは、仲間が増えたこと。一緒に練習したり、試合に出たりしながら、かけがえのない仲間ができました。自転車競技と出会うまでは、仕事・寝る・タバコの繰り返し生活だったときもありましたが、自転車のおかげで気持ちもポジティブになり、体も鍛えられ、心身ともに健康になりましたね。仕事と趣味のメリハリができ、自転車の練習時間を捻出するために、「仕事を頑張って早く終わらせよう!」と一層集中して業務にも取り組んでいます。また、自転車で行ったことがないところへ出向き、すてきな景色を見ると「家族にも見せたいな」と思うので、後日その場所へ車で家族を連れて行くなど、家族との時間も大切にできています。
今後の展望
競技者としては、世界一になりたい。
そのために、今年9月に行われるイタリアでの試合に向けて必死で取り組んでいます。練習も調整も機材面も全力で。プロではないけれど、アマチュアの中の一番になって、家族にもかっこいい姿を見せたいですね。
仕事においては、これからも成長していきたい。
自転車の試合に出るまでは、競技とは「人と競い合うこと」「ライバル同士の戦い」だと思っていました。しかし、実際の自転車競技では、練習仲間で戦うから皆仲がいい。そして強い選手同士が試合後に仲良くなって、さらに仲間が増える。
これは仕事でも同じだと感じます。
同じ方向に向かっている仲間として、皆で協力し合いたいです。僕にできることは、楽しい職場、やりがいのある職場作りだと思っています。そのために自分を変える必要がある部分も見えてきたので、これからもっと頑張りたい。
「競争しながら、協力する」そのすばらしさを今すごく実感しています。
これまで自転車競技で得たことを生かし、仕事でも力を発揮していきたいです。