子どもに合った不整脈治療を選んでもらいたい

子どもに合った不整脈治療を選んでもらいたい

子どもに合った不整脈治療を選んでもらいたい

洛和会音羽病院 小児科 副部長 武野 亨(たけの さとる)
洛和会音羽病院 小児科
副部長 武野 亨(たけの さとる)

専門分野

小児不整脈

専門医認定・資格など

日本小児科学会専門医

心臓はどうやって動いているのでしょう?

心臓は体の中心部分にあって、生きていく上で特に大切な臓器の一つですが、電気で動いていると聞くと驚く方もおられます。心臓は右心房と右心室、左心房と左心室に分かれており、右心房の洞結節という部分から電気信号が出て、その電気信号を合図に心臓の筋肉が収縮します。そうすることで心臓の中にある血液がポンプのように押し出されて、動脈から全身に酸素や栄養分が送られます。

心臓の構造

心臓の構造

心電図って良く聞くけど…

心臓の電気の流れが整っているかどうかを調べるには、心電図という検査が有用です。

心電図は、心臓を流れる電気の波形や間隔などに異常がないかを調べる検査です。心電図を見ると、心臓が規則正しく動いているか、電気の流れにおかしいところはないか、筋肉に異常はないか、心臓へ酸素が十分行き渡っているかなど、心臓に関する多くのことが分かります。

心電図検査

どうやって病気が見つかるのか

心臓を流れる電気信号に異常が起きる病気を不整脈といいます。子どもの不整脈の多くは小・中・高校入学時の心電図検診や、風邪などで小児科を受診したときに偶然見つかったりします。軽症の場合は無症状のことが多いですが、時には失神(意識が飛ぶこと)や突然死につながるような重症の不整脈が見つかることもあります。

主な症状

(1)脈が速い(=頻脈)、(2)脈が遅い(=徐脈)、(3)脈が飛ぶ(=期外収縮)の大きく3つに分けられます。

どれも軽症であれば症状はありませんが、重症になると失神や突然死につながることがあります。また、小さなお子さんでは、症状があってもお父さんやお母さんにうまく伝えられず、「なんとなく元気がない、しんどそう」といった状態で、不整脈が見つかることがあるので注意が必要です。

(1)頻脈(ひんみゃく)
洞結節以外の場所で異常な電気が早く作られるか、異常な電気の通り道があって(WPW症候群など)電気の空回りが起こることで、脈が異常に早くなった状態です。心臓の病気以外でも発熱時・貧血時・甲状腺機能亢進症などで見られます。

*WPW(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト)症候群…心臓の心房と心室の間に電気刺激を伝える余分な電気の通り道があり、前触れなく突然ドキドキする頻拍発作を起こすことがあります。

(2)徐脈(じょみゃく)
心臓の中にある電気の通り道に異常があって、脈がゆっくりになった状態です。脈拍が少ないため、必要な酸素や栄養分を体中に行き渡らせることができず、重症になるとめまいや息切れ、失神などを起こします。

(3)期外収縮(きがいしゅうしゅく)
洞結節以外のところから異常な電気信号が発生し、そのために脈が乱れます。無症状のことが多いですが、人によっては脈が乱れる感覚や動悸を感じることがあります。
1日に数回〜数十回程度の期外収縮は正常な人にも認められ、治療は不要です。一方で期外収縮の数が多くなると、将来的に心臓への負担が積み重なって心不全となることがあるので、その心配がある場合は治療をお勧めします。

特に気を付けるべき不整脈

QT延長症候群
QTとは心電図波形の一部分で、心電図上のQ波とT波の間隔が異常に長くなったものです。通常無症状ですが、突然重症の不整脈が起こって失神や突然死を起こすことがあります。遺伝性の病気で、家族内発症も認められます。

ブルガダ症候群
QT延長症候群と同じく遺伝性の疾患で、突然重症の不整脈が起こって失神、突然死につながる病気です。

心電図検診でみつかるそれ以外の病気
不整脈の病気が見つかるほか、生まれながらの心臓の病気(先天性心疾患)や甲状腺の病気など心臓以外の病気も見つかることがあります。

病院で調べられること

学校の心電図検診で病気が疑われた場合は、医療機関の受診が勧められます。病院では通常の心電図の他に、主に以下の検査を組み合わせて診断を行います。

心臓超音波検査

・心臓超音波検査…心臓の形や動きに異常がないか、心電図異常の元になっている病気が他にないかどうかを超音波検査で調べます。

・胸部レントゲン検査…心臓に負担がかかって大きくなっていないか、心臓が血液を全身に送り出せず肺に血液が溜まっていないかなどを調べます。

・24時間ホルター心電図…日常生活を行いながら1日の心電図変化を調べることができます。長時間の心電図を記録することにより、どのような不整脈がどれくらい出ているかを調べます。

・運動負荷心電図…運動により心臓に負担をかけ、心電図と血圧がどのように変化するかを調べる検査です。大人では主に狭心症などの診断に用いられますが、小児でも不整脈を起こしやすくして、その重症度を判断するために行うことがあります。
運動の種類として、階段を昇り降りして心電図を記録するマスター負荷心電図、自転車を漕ぎながら心電図を記録するエルゴメーター負荷心電図と、ベルトコンベアーの上で走りながら心電図を記録するトレッドミル負荷心電図の3種類があります。

運動負荷心電図

不整脈の治療

不整脈の治療は、不整脈の種類と重症度により薬物治療、カテーテル治療、デバイス治療の3種類から選択します。

頻脈や期外収縮の多くは、血管から心臓に細い管をいれて治療するカテーテル治療(カテーテルアブレーション)で根治が可能です。大人の不整脈治療では標準的な治療ですが、近年小児の不整脈に対しても徐々に行われるようになってきました。

カテーテルで治療可能な不整脈をお持ちで、カテーテル治療による根治を希望される方には、小児のカテーテル治療に対応できる病院をご紹介します。カテーテル治療を希望されない場合、小さいお子さんでカテーテル治療を安全に行うのに体格が不十分な場合には、必要に応じて薬物治療で不整脈の発生を抑える治療が行われます。

一方、徐脈やQT延長症候群、ブルガダ症候群などに対しては、その重症度に応じて「植込み型ペースメーカ」や「植込み型除細動器」といったデバイス治療の適応になり、これらの器具の植込みには手術が必要です。小児では専門施設での全身麻酔による手術になるので、専門施設をご紹介します。

保護者の方へ

心臓の病気と聞くと緊急で対応しないといけないイメージがありますが、不整脈に関しては時間的に少し余裕があることも多いです。そのため、保護者の方にはしっかりと病気や治療に対する説明をさせていただき、お子さんやご家族にとってベストなものをじっくり選んでもらえるように心掛けています。

お問い合わせ

洛和会音羽病院 小児科

TEL:075(593)4111(代)

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