不眠症に対する治療法CBT-I~あなたは効率よく睡眠がとれていますか?~
不眠の背景には、さまざまな要因が影響しています。過度なストレス、不安やうつ病などの心の健康状態が不眠症を誘発する可能性が高く、これらの心理的な負担が入眠困難や中途覚醒を引き起こすことがあります。身体的な要因では、慢性的な疾患、痛み、不快感、呼吸障害が睡眠に悪影響を及ぼし、不眠症を引き起こすことがあります。そこで、洛和会音羽病院 臨床心理室では2023年10月から薬を使用しない不眠症の治療法「CBT-I」を導入しています。
洛和会音羽病院 臨床心理室
係長 中島 陽大(なかしま ようた)
CBT-I(不眠症に対する認知行動療法)ってどんな治療法?
CBT-I (Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia)とは、認知と行動を心理学的に分析して、行動変容を促していく方法です。例えば、不眠症の人は、「眠らないといけない」と考えて「ベッドで横になり続ける」という行動をとります。そうすると、よけいに寝られないという問題を作り出し、不眠の状態が続いてしまいます。そういった方には、「ベッドで横になる」という行動を別の行動に置き換えていただきます。
CBT-Iはこのように、一人一人の睡眠パターンをチェックした上で考え方や行動パターンを変えていき、リラクゼーション法や睡眠スケジュール法など、さまざまな方法を用いて不眠を改善していきます。
CBT-I は不眠症治療として海外で広く認知されていますが、日本ではまだ十分に認知されておらず、一部のクリニックで実施されているのみで、多くの医療機関では薬物療法が主流となっています。関東を中心に実施しており、当院は総合病院にある心理療法外来として関西では初めての導入となり、遠方から受診される患者さんもおられます。
診療方法について
不眠症には抑うつ気分や不安症、生活のストレス、人間関係など、様々な問題が付随していることがあります。当院では、公認心理士が治療プログラムに則りながらも、一人一人異なる不眠症の背景に合わせて、6回のプログラムに分けてオーダーメイドで対応させて頂いております。
料金:自費診療(保険適用外)
- 対象者:不眠症の子ども・大人
- 頻度:1クール6回(希望者は7回目以降も実施可能)
- 料金:1回6,600円(自費)
- ※当外来は心理療法士が担当する心理カウンセリング外来のため、お薬の処方はできません。睡眠薬等の処方をご希望の方は医師の診察を受けてください。
実施スケジュール
1回目 | 認知行動療法とは |
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2回目 | 不眠症の理解 |
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3回目 | リラックス法 |
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4回目 | 睡眠スケジュール法① |
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5回目 | 睡眠スケジュール法② |
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6回目 | まとめ |
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7回目 | 希望者にフォローアップ |
※このプログラムは日本睡眠学会教育委員会が出版しているマニュアルに準拠しています。
少しでも不安に感じたらご相談ください
不眠が続くと、ストレスの増加やメンタルの不調、日中のパフォーマンス低下などが起こる恐れがあります。睡眠は、生きていくうえで必要不可欠なことです。眠れない、眠りが浅いなど、不眠で悩んでおられる方の力になれるよう努めています。当院の治療プログラムは、2回目以降の治療を患者さんご自身で継続するかどうかを選択していただいていますのでまずは気軽なご相談から始めて、あなたに最適なケアプランを一緒に考えましょう。
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不眠症の認知行動療法「CBT-I」外来について
公開日時 : 2024年01月30日 (火)