かかりつけ医で胃や腸にがんの疑いありと診断されたら

かかりつけ医で胃や腸にがんの疑いありと診断されたら

消化器がんのなかでも特に患者数の多い「胃がん」「大腸がん」洛和会音羽病院 消化器内科・消化器内視鏡センターでは消化器がんに対して外科と連携を取り、病気のステージ(病期)に合わせた治療を行っています。

少しでも「あれっ?」と思ったら受診!早期発見・早期治療が大切


洛和会音羽病院 消化器内科・内視鏡センター センター長
病院長特別顧問(消化器内科担当)兼務
飯沼 昌二(いいぬま しょうじ)

胃がんや大腸がんは早期発見・早期治療をすれば治るがんになってきています。国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(2020年データ)によると、がんのなかでも大腸がんと胃がんの部位別死亡者数は2位、3位となっていますが、5年生存率はステージⅠなどの早期であれば90%以上(全国がんセンター協議会の生存率共同調査〈2023年集計〉による)です。 胃がん、大腸がんの初期症状は次の通りです。

胃がんの初期症状

ほとんどなし。症状があればかなり進行している。みぞおちの痛み、膨満感、吐き気、胸やけなど。

大腸がんの初期症状

血便、便秘・下痢、お腹が張る、食欲不振などの症状がある場合、また健康診断やかかりつけ医などの受診により異常を指摘された場合には、少しでも早く専門外来を受診することが大切。

胃がんは早期では症状が出ないので、定期的に胃の検査をうけることが大切ですまた、大腸がんも早期がんでは症状はないので、症状がなくても便潜血検査を受けて、陽性であれば、大腸内視鏡検査を受けることが大事です。

まずは内科で内視鏡検査・治療

消化器がんが疑われるときには、まずは内科医が診察・検査を担当します。がんは粘膜から発生しますが、粘膜内にがんが留まっている場合には転移の危険性はありません。その場合は、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を行っています。内視鏡の診断能の向上させるために内視鏡治療後は、内視鏡写真と病理組織像の対比を行っています。体の表面に傷を付けず、胃や大腸の機能も温存でき、患者さんの体への負担が比較的軽い治療です。このようにがんが粘膜に留まり、深達度が浅いものは内科医による治療を行います。

当院の内視鏡システムとエックス線装置

EVIS X1

2020年5月に発売された内視鏡システム「EVIS X1」は5つのLEDを使い、良好な色再現性とコントラストを実現。さらに、3種類の特殊光を使い分けることで、以下のように特定疾患を見つけ、病変の見落としの減少が期待できます。

用途の違う特殊光を使用
・TXI(構造色彩協調機能):独自の画像処理技術を使って、小さな病変の早期観察に貢献します。表面のでこぼこが見えやすく、胃がんなどが見つけやすいです。
・NBI(狭帯域光観察):紫や緑の特殊な光を使い、わずかな変化を見やすくして詳細な観察を助けます。毛細血管が見やすいので、細い血管の変化をとらえることにより胃がんの診断に役立ちます。
・RDI(赤色光観察):血管や出血の様子が観察しやすくなり、より安全に内視鏡治療をサポート。消化管出血の出血点の同定に役立ちます。

Ultimax-i

当院に導入された多目的デジタルエックス線TVシステムで、現在の最上位モデルが「Ultimax-i」です。このモデルは放射線被ばくが少なく、従来と比較して65%低減されています。撮影する部分がCアームになっており、患者さんがベッドに横になりながら上下左右に回転することで、安全に多方向からの観察ができます。また、大画面モニターで高画質な透視画像が得られ、細い膵管や胆管に対するERCP検査に高い効果を発揮します。「Ultimax-i」を用いると内視鏡が十二指腸を進み、さらに奥にある膵管・胆管の中にカテーテルを挿入する様子を撮影することができます。

内科・外科医のタッグで幅広いステージの患者さんに対応

進行がんの患者さんに対しては、手術、化学療法、放射線療法のうち最適な治療法を提案できるよう、消化器外科、放射線科、腫瘍内科と連携を行っています。腹腔鏡手術は外科治療ですが、術前・術中の内視鏡を用いた病変指摘は内科医が行います。また当院の外来治療センターでは抗がん剤治療にも対応しています。当院では内科・外科医が連携し、患者さんお一人お一人の状態を考慮して、適切な治療方針を決定するとともに、ご家族にもわかりやすく説明しながら治療していきます。お気軽にご相談ください。

CEなど多職種で連携を取っています

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洛和会音羽病院 消化器内科・消化器内視鏡センター
洛和会音羽病院 地域連携課

公開日時 : 2024年06月28日 (金)

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