透析患者さんを心で支える

透析患者さんを心で支える

透析患者さんを心で支える
洛和会音羽病院と洛和会音羽記念病院では、それぞれの病院の特徴を生かして連携し、透析患者さんに治療・ケアを行っています。

洛和会音羽病院…地域医療の中核となる急性期病院
洛和会音羽記念病院…透析を中心とした腎疾患の治療に特化した病院

今回は透析患者さんの“生き方”を考えながら、ケアを続ける二人の看護師にお話を聞きました。

透析患者さんの“生き方”を考えながらケアを続ける二人の看護師

左 洛和会音羽病院 看護部 5A病棟 師長 西山 由香里(にしやま ゆかり)
右 洛和会音羽記念病院 看護部 透析センター 師長 沖田 佳子(おきた よしこ)

腎臓の構造

腎臓の構造

そもそも透析って腎臓と関係あるの?

腎臓は左右に2つあるそらまめ形の臓器です。心臓から全身を巡っている血液が腎動脈を通って腎臓に送り込まれ、皮質と髄質にある糸球体という毛細血管の束を通り、ろ過されて、余分な老廃物や塩分が取り去られ、血液と尿に分かれます。その後、血液は腎静脈から大静脈を通り心臓へ戻り、尿は乳頭や腎杯を経て、腎盂に集まり、尿管を経て、膀胱に運ばれます。

糖尿病や高血圧などが原因で腎臓の機能が落ちてくると「推算糸球体濾過量(eGFR)」の値が下がってきます。eGFRは老廃物を尿へ排泄する能力を示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。ステージG3では低度から高度の機能低下が見られ、G5になると末期腎不全と区分され、透析が必要となります。

ステージG1(eGFR90以上)
ステージG2(eGFR60~89)
ステージG3(eGFR30~59)
ステージG4(eGFR15~29)
ステージG5(eGFR15未満)

慢性腎臓病ステージ

透析導入までの情報共有が大切

eGFRの値がステージG3やG4になった時点で、患者さんはかかりつけ医から洛和会音羽病院に紹介状をもって来院されることが多いです。そして、それ以上、腎臓の状態が悪化しないように治療が行われます。

腎臓の病気は末期になるまで自覚症状がないことが多いため、症状が出たときには、透析を受けざるを得ない状態になっていることがあります。しかし、早期で腎臓の機能低下が見つかった方のなかには透析導入となるステージG5まで治療期間が30年間という方もおられます。

治療に対する考え方は患者さんやご家族によってさまざまです。透析導入が必要になるまでの期間がある方には、その選択肢を前もってお伝えし、透析治療に対する理解を深めていただいています。そうすることでステージG5になったときにも、患者さんの望む生活に合わせた治療を選択していただけるように努めています。

透析導入が必要な患者さんの主な選択肢

(1)腎臓移植 (大学病院などをご紹介します)
(2)維持透析(血液透析・腹膜透析)
(3)治療を行わない

(2)の血液透析を選択される方には、洛和会音羽病院で透析に必要なシャントという入口部分を作る手術を行います。その後、ご自宅などに戻っていただき、洛和会音羽記念病院の外来で週3回、血液透析を受けることになります。

洛和会音羽記念病院 透析センター

両院の連携がますます緊密に

血液透析を行っている患者さんにはさまざまな症状がでます。血管が詰まったり、狭くなったりして手に痛みがでたり、赤くなったり、腫れたり、硬くなったり、熱をもったり、逆に冷たくなったりもします。血流が滞っている場合は、シャント内にカテーテルを入れてバルーンを膨らませてシャント血管を膨らませるシャントPTAなどを行います。

そのほかにも透析患者さんは、心臓や足、脳、目などの血管が詰まる病気や感染症になる可能性が高くなります。多くの診療科がある洛和会音羽病院では、心臓内科や脳神経内科・脳神経外科、アイセンター、感染症科などで手術を含めた治療が可能です。治療後には再び洛和会音羽記念病院で透析を受けていただくことができます。

患者さんの負担軽減に向けた連携会議

患者さんの負担軽減に向けた連携会議
洛和会音羽病院での治療後、ご自宅に戻られた患者さんが、洛和会音羽記念病院でよりスムーズに血液透析を受けてもらえるよう、定期的に洛和会音羽病院と洛和会音羽記念病院の間で連携会議を開いています。患者さんにお伝えする透析に関する情報を統一することで、医療の質向上を図ったり、転院・入院に必要な書類の書式を統一することで、患者さんやご家族の書類の記入や提出などにかかる手間を減らすように努めています。

患者さんに寄り添いたい

近年、腎機能を温存する治療が進歩し、機能低下から透析導入までの平均的な期間が延びました。また、透析を開始した後における合併症などの治療実績も良くなってきています。そのため、透析患者さんの高齢化が急激に進んでいます。
高齢者の透析導入についてはいろいろな考え方があります。腎臓の機能が悪化しないように治療することはとても大切ですが、透析治療を始めるかどうかという場面において、医師や病院の考えではなく、患者さんの意思で、どう生きたいのかを決定するようにサポートしていきたいと思っています。

<関連情報>洛和会音羽記念病院 透析療法情報サイト

お問い合わせ先

一般の方
洛和会音羽病院 腎臓内科

TEL:075(593)4111(代)

洛和会音羽記念病院 透析センター

TEL:075(594)8010(代)

開業医の方
洛和会音羽病院 地域連携課

医療機関さま専用フリーダイヤル:0120(607)489

洛和会音羽記念病院 地域連携課

TEL:075(594)8010(代)

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