膝関節の病気を手術で治す ~患者さんに合わせた手術を目指して~

膝関節の病気を手術で治す ~患者さんに合わせた手術を目指して~

膝関節の病気を手術で治す ~患者さんに合わせた手術を目指して~
膝関節外科の病気は大きく中高年の膝関節痛の原因となる変性疾患と、スポーツあるいは外傷によって若い方に起こる急なものに分かれます。当院で行っている膝関節の疾患に対する治療法を紹介します。

関節センター センター長 高宮 尚武(たかみや ひさたけ)
洛和会丸太町病院 整形外科 部長
関節センター センター長 高宮 尚武(たかみや ひさたけ)

専門分野

膝関節外科(人工関節、靭帯再建)

専門医認定・資格など

日本整形外科学会整形外科専門医
認定リウマチ医
認定スポーツ医
認定運動器リハビリテーション医
医学博士
臨床研修指導医

足をスムーズに動かすのに必要な足膝関節

膝の関節は肘と同じく、ドアの蝶番(ちょうつがい)のように一方向に曲がります。大腿骨と脛骨は関節によってつながっていますが、その間で両者をつないでいるのが靭帯(内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯)で、関節がいろんな方向へ曲がったり、外れたりしないようにする役割があります。大腿骨と脛骨の表面にある関節軟骨や半月板といわれる軟骨が内側と外側にあり、つなぎ目の組織が傷つかずスムーズに動くのに役立っています。

膝の構造

膝の構造
膝の構造

高齢者に多い病気は変形性膝関節症

中高年の膝関節に痛みがある代表的な病気は変形性膝関節症で、年齢を重ねるごとに関節軟骨が変性して消耗もしくは消失してしまうことで、骨が変形してしまう病気です。

まずは運動療法などの保存療法を行いますが、鈍い痛みがあったり、膝の可動域が小さくなったり、水がたまったりする場合や、日常生活動作に支障を来すようになれば手術療法を選択します。手術は年齢によって、自分の関節を残す「骨切り術」と変性した関節を取り換える「人工関節置換術」があります。

比較的若い方には骨切り術

変形性膝関節がある40~50歳代の方には、関節を温存する骨切り術(HTO)を行っています。膝の周りの骨を切って取り出し、軟骨が残っているほうに体重がかかるようにし、鈍い痛みを抑えます。人工関節には耐久年数がありますので、その交換時期を念頭に入れた治療法と考えることもできます。

当院では腓骨(膝から足首までの2本の骨のうち、外側の細い骨)の骨切りが不要で矯正が比較的容易に行える「Open Wedge HTO(OWHTO)」を行っています。最近では、人工骨やインプラントの進化もあり、手術後早い段階で、膝に荷重をかけられるようになってきています。また、歩いているときに突然の痛みがある「膝特発性骨壊死症」に対しては、OWHTOに骨軟骨を移植する手術を併用することもあります。
Open Wedge HTO(OWHTO)                 Open Wedge HTO(OWHTO)

高齢の方には「人工関節置換術」

変形性膝関節症がある高齢の方には、人工関節手術を適用しています。現在、人工関節の耐久年数は15~20年ともいわれており、手術の年齢制限はないとされています。高齢者で変性の程度によっては、より体に負担の少ない「人工関節単顆置換術」を行っています。入院期間の短縮や、手術後の可動域の増悪を生じにくく、より正常の膝に近い感覚を残すことができます。
人工関節単顆置換術                   人工関節単顆置換術

変形箇所が複数あり、その変形の程度が大きい、もしくは膝の可動域が小さい方には「人工関節全置換術」を行っています。年齢が若い患者さんや、可動域が良好で、変形の程度が比較的小さく矯正可能な場合には、後十字靱帯を温存する「人工関節全置換術」を行います。上記以外の方には、後十字靱帯を切除する「人工関節全置換術」を選択します。

後十字靱帯を温存する「人工関節全置換術」後十字靱帯を温存する「人工関節全置換術」
後十字靱帯を切除する「人工関節全置換術」後十字靱帯を切除する「人工関節全置換術」

アスリートに多い「半月板損傷」「前十字靭帯損傷」

過度な運動によって起こる障害のほとんどは保存療法で治療可能です。継続的な鈍い痛みがスポーツに影響する場合は積極的に手術療法を選択します。中でも代表的なものは「半月板損傷」と「前十字靱帯損傷」です。これらの疾患では、体への負担が少ない「関節鏡視下手術※」を行い、早期の競技復帰を目指しています。
※関節に超小型カメラ(5mm程度)を挿入して行う手術。

そのほかの病気にも関節鏡視下手術

半月板損傷で、鈍い痛みや水がたまる状態が続き、突然膝の曲げ伸ばしができなくなる状態やひっかかる感じがする場合などに手術を行います。医療機器の進歩に伴い、以前は切除を選択していた半月板損傷も縫合して治療できるようになっています。その場合、膝に荷重をかけたり可動域を広くしたりする訓練の期間が少し長くなりますが、将来的な関節症を予防する観点から手術は増加していくものと考えられます。

運動量が多いスポーツで前十字靱帯損傷を負った男性アスリートには「二重束再建術」を行います。この術式は前後や回旋の動きを安定させ、急な動きを良くすることが期待できます。また、術後の筋力測定などのデータを元にした厳密なリハビリテーションプログラムによって、再断裂防止に努めています。

患者さんが希望する治療を提供する

年齢や症状あるいは病状が異なる患者さんに対して、各個人に最適な治療方法を提供できること、それこそが今後望まれるであろう“テーラーメイド手術”という考え方ではないかと思っています。患者さんに喜んでほしいという思いを胸に、日々の診療に当たってまいります。
関節センター センター長 高宮 尚武(たかみや ひさたけ)

一般の方

洛和会丸太町病院 整形外科 関節センター

開業医の方

洛和会丸太町病院 地域連携課

TEL 075(801)0372

そのほか、以下の病院でも関節の治療を行っています

洛和会音羽病院 整形外科 関節外科・人工関節センター
通院・検査
洛和会音羽リハビリテーション病院
入院・手術
洛和会音羽病院

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