肺の病気で息苦しさを感じる方へオーダーメードの提案を|呼吸リハビリテーション

肺の病気で息苦しさを感じる方へオーダーメードの提案を|呼吸リハビリテーション

息切れでお困りの方、呼吸の病気で外出の機会を逃している方、 呼吸リハビリテーションを始めてみませんか?

近年、慢性閉塞性肺疾患(COPD)あるいは間質性肺炎といった病気が増えてきて運動療法や日常生活指導を行う「呼吸リハビリテーション」が注目されてきています。また、コロナ後遺症(息切れや倦怠感など)に対する呼吸リハビリテーションの有効性を示す報告も増えています。今回の記事では洛和会音羽病院で行っている呼吸リハビリテーションについて知ってもらい、少しでもお困りを解消できればと思います。

呼吸リハビリテーションとは?

さまざまな肺の病気によって十分に呼吸できず息苦しさを感じている方に、運動療法や日常生活指導を行い、呼吸をスムーズにすることを「呼吸リハビリテーション」といいます。当院では、呼吸器内科の外来患者さんと入院患者さんを対象に呼吸リハを行っています。

対象となる肺の病気

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患は、主にたばこが原因で、禁煙指導や吸入薬・感染予防のためのワクチンの投与に加え、息切れの軽減や日常生活の向上のためのリハビリテーションを行います。重症度や症状に合わせて在宅酸素療法や在宅人工呼吸管理を行い、楽に生活できることを目指します。

間質性肺炎

薬剤や膠原病など、最近ではコロナ感染の後など、さまざまな原因で起こる難病で、診断や治療に難渋することもあります。診断のために気管支鏡による肺胞洗浄(BAL)、胸腔鏡下肺生検査(VATS)を行うこともあります。間質性肺炎に対しても、呼吸リハビリテーションの効果が認められており、息切れの軽減や日常生活の向上を目指します。

コロナ後遺症

コロナ診断から1年後も倦怠感や息切れなどの何らかの後遺症がある方は、罹患者全体の3割にのぼることが分かってきています。しかし、コロナ後遺症に対する呼吸リハビリテーションの研究で、リハビリを受けた方が有意に改善したとの報告が増えてきています。

気管支拡張症

気管支拡張症は先天的な原因や幼小児期の肺炎、繰り返す感染などで気管支の壁が壊れたり弱くなることにより広がってしまう状態です。日常的に痰や咳にお困りの方が多く、呼吸リハビリテーションでは痰の効率的に出す方法や咳の方法をお伝えし、安全な運動方法を実践を通してお伝えします。

肺がん

年々増加している肺がんもまた対象となります。肺がん治療は、半年から数年かけて行うことが多く、治療の副作用に対抗するだけの体力や活力が必要になります。呼吸リハビリテーションでは、症状に合わせた体力づくりた活力向上に向けたアプローチが可能です。

その他

非結核性抗酸菌症・肺炎後・胸部手術前後など

呼吸リハビリテーションの目的

筋肉を動かすには酸素が必要ですが、筋肉が少ないと多くの酸素が必要になります。少ない酸素で楽に動くことができるよう、筋肉を鍛えることで息切れを軽減します。また、日常生活の動作のコツを知ることで、仕事・家事・趣味などの活動を楽しめるようになります。対象となる肺の病気がある方は、日々の生活の中で息切れや呼吸の病気で外出の機会を逃していることがあるかもしれません。呼吸リハビリテーションのことを知ってもらい少しでもお困りを解消できればと思います。

  • 運動能力を高め、楽に動くため
  • 動いた時の息切れを軽くするため
  • 不安やうつ状態を改善し、快適な日常生活を送るため

呼吸リハビリテーションの流れ

当院ではまず患者さんの身体測定(握力や足の筋力測定など)や運動耐容能試験(6分間歩行試験)などを行い、日常生活での息切れの程度を客観的に測定します。その結果に基づいて、安全かつ適正な運動や、普段の生活の中で注意することなど、一人一人に合わせたオーダーメイドなリハビリメニューを提供しています。

  • リハビリの項目はオーダーメイドで患者さんに合わせて選んでいきます。
  • 患者さんの日々の生活をお伺いして、趣味や家事仕事などを考えながら継続してできるものを選択します。

検査について

血液検査・胸部レントゲン・心電図検査のほか、肺の状態や筋力、体組成などを調べます。

肺機能検査

肺機能検査では専用の医療機器を用いて、空気を吸う力や空気を吐く力など肺の状態を計測します。

運動負荷試験

運動負荷試験ではできるだけ早い速さでどれだけの距離を歩けるかを確認します。

体組成検査(InBody)

体組成分析装置を利用して主に現状の筋肉量を把握します。リハビリ前に現状を把握するのに使ったり、リハビリ後にその効果を判定するのにも使います。

筋力測定

日常生活を送る上で不可欠な手を握る力を測定します。握力は全身の筋力の程度を知ることができるといわれています。また、年齢とともに衰えがちな足の力も測定します。

問診

医師が現在の体の状態や過去にかかった病気、家族歴などを聞いたり、聴診器を使って、肺など体の状態を確認します。

「オーダーメード」リハビリメニューを作成

検査・測定や問診の結果、体力と筋力に課題を見出した場合は体力づくりのために有酸素運動を取り入れたり、筋力アップには筋力トレーニングを取り入れたメニューを作成します。それぞれのトレーニングプログラムにさまざまな種類の運動メニューがあるので、一人一人に合わせることはもちろん、その日の体調を考慮してきめ細やかな調整を行います。気持ち良く体を動かすことで呼吸機能の向上を目指します。

実際のリハビリテーション例

呼吸方法の工夫

楽に呼吸が行える方法を指導・提案しています。使い古した空気を吐き出せることができるといわれる口すぼめ呼吸などを練習していきます。

有酸素運動

自転車型のエルゴメーターという運動機器を使って行います。患者さんの状態に合わせながら、負荷を調整できることと転倒リスクが少ないことが特徴です。運動中は理学療法士が常に呼吸状態を確認し、無理なく進めていきます

洗髪動作の工夫

両手を挙げての連続動作が続くと息が苦しくなることから、洗髪するときの腕のあげ方や片手での洗髪の仕方を練習します。

最後に…

在宅で酸素療法を受けている方も多いかと思います。呼吸リハビリテーションを無理なく行うことで、充実した生活をより長く続けていただけるようになると期待しています。

まずはかかりつけの先生にご相談いただくか、当院の呼吸器内科外来を受診ください。

お問い合わせ

外来呼吸リハビリテーションは完全予約制です。

呼吸リハビリテーションを始めるにあたっては、呼吸器内科外来での医師の診察が必要です。

かかりつけ医のいらっしゃる方はかかりつけの先生の紹介状をお持ちください。

洛和会音羽病院

TEL 075(593)4111(代)
月~金曜日 午前8時30分~午後8時 / 土曜日 午前8時30分~午後5時15分
※日曜日・祝日・年末年始(12月30日~1月3日)はお休みをいただいております。

関連コンテンツ

医療のはなしカテゴリの最新記事

会報誌らくわ

地域の医療機関と洛和会ヘルスケアシステムをつなぐ会報誌

地域の医療機関と洛和会ヘルスケアシステムをつなぐ会報誌「季刊らくわ」

「会報誌らくわ」2024年4月号(2024年4月1日発行)

洛和会ヘルスケアシステムのSDGs

洛和会ヘルスケアシステムのSDGs

洛和会理事長のメッセージ

洛和会ヘルスケアシステム 理事長 矢野裕典からのメッセージ

洛和会SNS公式アカウント