若い世代でも発症しやすい乳がん。女性の9人に1人がなるといわれています。自分のため、そして大切な人のために、検診を受けましょう。
今回お話を伺ったのはこちらの方!
洛和会音羽病院 乳腺科 部長
坂田 晋吾(さかた しんご)
専門分野
乳腺疾患
専門医認定・資格など
日本外科学会認定医/専門医
日本乳癌学会認定医/乳腺専門医
マンモグラフィ読影認定医
乳がんとは?
乳がんは乳腺に発生する悪性腫瘍です。乳腺には乳腺葉という組織が乳頭を中心に放射状に15~20個並んでおり、母乳を作る小葉とその母乳を乳頭まで運ぶ乳管で構成されています。乳がんの90%が乳管から発生し、乳管の中だけにとどまるものを非浸潤がんといい、そこからがん細胞が増殖し、周囲に広がると浸潤がんとなり、リンパ節や骨、肺などに転移していきます。
乳がんは女性が最もかかりやすいがんです
日本人女性の乳がん罹患率は2018年の統計で93,858人となっており、女性がかかるがんの中で最も多くなっています。今や、9人に1人ががんになると言われる時代です。しかし、自分が触れるところにありながら症状を伴うことがほとんどないため、病気があってもなかなか気づかないという現実もあります。最近、「ブレスト・アウェアネス(乳房の健康教育)」という考え方が普及しています。自身の乳房の状態に関心を持つ生活習慣のことですが、その中には定期的に乳がん検診を受けることが推奨されています。
【出典】全国がん登録罹患データ(罹患)、人口動態統計死亡データ(死亡)、地域がん登録生存率データ(生存率)
乳がんと診断される数(2018年) | 94,519例(女性 93,858例、男性 661例) |
死亡者数(2019年) | 14,935人(女性 14,839人、男性 96人) |
5年相対生存率(2009~2011年) | 92.3%(女性) |
無痛MRI乳がん検診「ドゥイブス・サーチ」を導入しました!
2021年9月、洛和会京都健診センターでは「ドゥイブス・サーチ」を京都で初めて導入し、「痛くない」「見られない」といった新しい乳がん検診で受診率の向上を目指します。
40代以上の55%が未受診
現在の乳がん検診は、公的扶助があるにも関わらず40代以上の53%が検診を受けていません。また、40歳未満は対策型検診の対象でないため、ほとんどが未受診という現状です。そして、受診されない理由の多くに「痛いから」「恥ずかしいから」という声が挙がっています。
【出典】国立がんセンター がん統計
「痛くない」検診
ドゥイブス・サーチでは、乳房用にくり抜かれた穴に胸をあわせて撮影します。重力によって胸が自然と撮影しやすいふくらみになり、圧迫による痛みがありませんので、「検診の重要性は理解しているが、痛さが耐えられない」という悩みを抱えていた方も楽に受診していただけます。また、無痛なだけでなく、Tシャツを着たままの撮影が可能であることも特徴の一つです。「胸を見せることに抵抗がある」という方のほか、インプラントを入れておられる方、不妊治療前や男性乳がんの疑いがある方などに幅広く対応しています。
乳房型にくりぬかれた機器を設置したベッドにうつぶせで行います。
日本人に多い高濃度乳房
ドゥイブス・サーチでは、がんの組織が黒く映ります。日本人女性に多い高濃度乳房(デンスブレスト)※1の方でも高い確率でがんを発見することが可能です。
※1…日本人の半数以上が乳腺が豊富にある高濃度乳房で、特に50歳以下に多いとされています。70歳代ぐらいになると次第に乳腺が萎縮し、乳房のほとんどが脂肪になります。
受診の選択肢が増えました!
氏名
洛和会丸太町病院 放射線部 副係長
荒賀 裕之(あらが ひろし)
一言
私たち診療放射線技師がMRIの設定や細かい調整などを行います。
今回、無痛MRI乳がん検診「ドゥイブス・サーチ」を導入したことにより、マンモグラフィとエコーの2種類だった選択肢が3つに増えました。それぞれに特長がありますので、ご自身に合うものをお選びください。大切な体のため、定期的な検診をお願いします。
アクセス
〒607-8062 京都市山科区音羽珍事町2
公開日時 : 2021年12月01日 (水)