洛和会職員がプロデュース! 第2回日本NP学会近畿地方会学術集会
2024年8月3日(土)にTKPガーデンシティPREMIUM大阪駅前(大阪市)で第2回日本NP学会近畿地方会学術集会が行われました。
診療看護師(Nurse Practitioner)とは
日本NP教育大学院協議会が実施する NP資格認定試験に合格した者で、患者さんの生活の質向上のため、医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づいて一定レベルの診療を行うことができる看護師です。2024年4月現在、872人の診療看護師が全国で活動しています。京都府には7人が在籍しており、そのうち3人が洛和会音羽病院で働いています。超高齢社会や地域医療の偏在化により急性期医療の現場のみならず、生活の場での医療のニーズが高まる中、診療看護師の役割が注目されています。
開会のあいさつ
本学会は、洛和会音羽病院 連携医療科 診療看護師 向井拓也が大会長を務めました。「診療看護師(NP)の活動で広がる地域の輪」をテーマに、診療看護師の活動報告を軸に、現状と課題の共有や医療ニーズの再考を目的として開催されました。
洛和会音羽病院 臨床研修科 診療看護師 中路恵果は、一般演題の中で「診療看護師(NP)の卒後研修に関する考察」について2023年4月から開始した卒後臨床研修の現状と課題を発表しました。施設ごとに標準化した卒後研修および 診療科別の到達目標・評価項目の開発の必要性があると報告しました。
質疑に答える洛和会音羽病院 臨床研修科 診療看護師 中路恵果
教育講演「米国Nurse Practitionerの経験から紐解く‐診療看護師(NP)の役割を具現化し地域に必要なリソースになる‐」 講師:木村千尋氏
木村氏は、アメリカでNurse Practitionerの資格を取得して高齢者施設での勤務経験があります。帰国後、日本でも診療看護師の資格を取得し、現在は島根県・雲南市立病院で勤務しています。この経験からアメリカでNurse Practitionerが飛躍的に成長したプロセスの1つに「社会のニーズ」が追い風となった歴史や経緯があるとし、本邦においても診療看護師が社会に認められるよう働きかけることが必要であると述べられました。
基調講演:「訪問診療医から見る診療看護師(NP)の腕の見せ所ー在宅で活躍する診療看護師(NP)の可能性ー」講師:世戸博之氏(ZOOM講演)
“0歳から100歳までの自宅で過ごしたい”を実現することをスローガンに掲げる、ひのでクリニック医師の世戸氏は、訪問診療で診療看護師と協働した経験があります。ACSCs※に該当する患者に対し、診療看護師が往診の依頼を受けて患者宅を訪問するまでにかかる時間は医師と比較して短く、診療看護師の診察、初期介入によって不要な入院が減少したことを報告しました。その結果を踏まえ、診療看護師が訪問診療で活動することへの実現の可能性について述べられました。
※ACSCs(Ambulatory Care-Sensitive Conditions)とは
適切なタイミングで効果的なケアをすることで入院を減らすことができる状態のことで、ACSCsである患者さんの入院回避は非常に重要だと考えられています。
学術集会の大会長を経験して
急性期医療から在宅医療まで、どの領域であっても看護の目線を持ち合わせて患者の病態を捉えることのできる診療看護師。役割は多様化しており柔軟な対応が求められる現代の医療ニーズとの親和性は高いと感じました。私たち診療看護師は、洛和会が展開する地域に根差した医療において、チーム医療を行う中でリーダーシップを発揮できるよう、これからも研鑽してまいります。
次回の日本NP学会近畿地方会学術集会は、薬理学など医療における歴史が深い奈良県で来年7月に行われる予定です。
洛和会音羽病院 連携医療科
診療看護師 向井拓也
当会では、患者さんとご家族に、より質の高い医療・看護を提供することを目指して診療看護師を募集しています。
今後も地域医療の発展に精進してまいります。
公開日時 : 2024年09月26日 (木)