安全かつ安心な無痛分娩を提供するために

安全かつ安心な無痛分娩を提供するために

安全かつ安心な無痛分娩を提供するために

バイタルサインを見ながら、次の行動を相談している受講者たち

洛和会音羽病院 産婦人科では、今年度から「無痛分娩」を開始するための準備として、6月11日、京都産婦人科救急診療研究会からインストラクターを当院へ招き、母体急変時の初期対応のシミュレーション講習を実施しました。今回の講習の内容は、分娩前後に起こりうる急変に対して、適切な初期対応を行うためのベーシックコース。産婦人科医6人・麻酔科医1人・助産師11人、計18人が受講しました。

母体急変時の対応に特化した「京都プロトコール」

母体の急変は産婦人科医の技量に関わらず、ある確率で発生し、命を奪う事態になることがあります。事前の予測困難な分娩前後の急変に対して、産婦人科医のみならず分娩に関わるスタッフ全員が協力して適切な初期対応を行うために、「京都プロトコール」という蘇生プログラムを学びました。

その後、妊婦仕様のマネキンを使用して、心臓マッサージ・AED、バッグバルブマスクを使用した換気手順などのスキルトレーニングが行われました。

心臓マッサージやAEDのフローを再確認
バッグバルブマスクを使用した換気の手順を確認

 

急変時に何をすべきか、何ができるのか

 6人ずつ3グループに分かれた受講者は、6つの疾患別シナリオに基づいたシミュレーション実習を行いました。グループごとに分かれた後、さらに3人ずつ、「医師・助産婦・看護師」の役割に分かれ、準備されたシナリオをもとに刻々と変化する母体に対応しました。バイタルサインから急変を認識し、速やかに他の医療スタッフを招集し報告できているか、症状や徴候から急変対応が必要な疾患を診断できているかなど、各シナリオごとにチェックポイントがあり、実習後にインストラクターからアドバイスを受けていました。

インストラクターからアドバイスを受ける受講者たち

また、看護師が医師を、医師が助産師など、自身の職種と異なる役割を担い、実習を行いました。いつも一緒に仕事をしている仲間ですが、普段と異なる役割を担うことで、急変時にスタッフに何を伝えるべきなのか、自分が何をすべきなのかが客観的に見えてくることも、このシミュレーション実習の特徴です。「妊婦の急変時に高次施設へ搬送するまでに、限られた人数のスタッフで何をするべきか」、「第一発見者であるスタッフが最優先にすべきことは何か」ということも実践的なシミュレーションから学びました。

普段と異なる役割を担いシミュレーション実習を受講
母体の症状を確認し、急変に対応する受講者たち

妊婦が無痛分娩を安心して選べるように

同院 産婦人科 医長 野溝万吏(写真左)

同院 産婦人科 医長 野溝万吏は、「無痛分娩は、日本では件数も増え広まる風潮にありますが、合併症などで妊婦が死亡するケースもあります。その不安を払拭するためにも、実践的なシミュレーションを繰り返し、私たち一人一人が急変時に対応できる力を身に付けなければいけないと思っています。」と語ってくれました。

同科では、分娩に関わるスタッフ一人一人の技量を、そしてチームとしてのスキルアップを目指して、今後も講習会を開催し、「安全安心な無痛分娩」に向けて、体制づくりを進めてまいります。

公開日時 : 2023年07月07日 (金)

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