当会薬剤部の職員が学術大会にて優秀演題賞を受賞

当会薬剤部の職員が学術大会にて優秀演題賞を受賞

当会薬剤部の職員が学術大会にて優秀演題賞を受賞

2月に行われた、近畿薬剤師合同学術大会2023において、洛和会丸太町病院 薬剤部 課長 起塚美沙と、洛和会音羽病院 薬剤部 主席係長 伴具也が、それぞれ優秀演題賞を受賞しました。

約4,000人の薬剤師が参加した同学会で発表された278演題の中から、1題が最優秀演題賞、8題が優秀演題賞として選出され、そのうちの2題が当会薬剤師の発表でした。

受賞した2人に、学会での発表内容やこれまでの取り組み、患者さんへの思いなどをインタビューしました。

★優秀演題賞受賞★ 演題名「洛和会丸太町病院における 術後疼痛管理チーム体制構築」

洛和会丸太町病院 薬剤部 課長 起塚 美沙(おきづか みさ)

周術期管理チーム認定薬剤師

術後の患者さんのためのチームを

2022年度の診療報酬改定で提示された国の方針に則り、洛和会丸太町病院において術後疼痛管理チームを立ち上げることになりました。チームメンバーの要件として、麻酔科医師、看護師、薬剤師、可能なら臨床工学技士を加えた配置が望ましいとされており、また、医師以外は、術後疼痛管理にかかわる研修を修了していることとなっていましたが、当院には、手術看護特定認定看護師、 周術期管理チーム認定薬剤師、 周術期管理チーム認定臨床工学技士と算定条件を満たす資格保持者が揃っていました。そこでチームメンバーと協力し、話し合いを重ね、院内の体制整備を進めました。

受賞を知ったとき

まだ前例がない中、当院の実情に合わせて、チームで試行錯誤しながら進めていった苦労が報われたように感じました。今回のチームメンバーだけでなく、事務職を含むさまざまなスタッフの方々の協力があるからこそ、術後疼痛管理チームが機能しています

数ある演題の中から選んでいただけたのは、新たな取り組みでもあり、どのように院内の体制整備を行ったか、そして、そこに薬剤師がどのように介入しているかというところに注目が集まったからだと思っています。

患者さんの心身への負担を減らすために

術前から、繰り返し多職種で説明することで、しっかりと患者さんにPCAポンプの使用方法を理解してもらえるよう働きかけ、また、術後も、しっかりと多職種で疼痛状況や副作用出現状況を確認し、カルテ上でしっかりと情報共有することで、質の高い疼痛管理を実現しています。

現在、作用機序の違う鎮痛剤を組み合わせて使用する多角的鎮痛法が主流であるため、薬剤師としてそれぞれの薬の作用や副作用をしっかりと理解した上で、患者さんがどのような状態にあるかをモニタリングしていくことが重要と考えています。また疼痛コントロールが良好で離床も進んでいる方には、できるだけ薬を減らせるよう配慮し、薬剤減量後のフォローにも気を配っています。

4月から新入職員を迎え、チーム体制への理解や患者さんとの関わり方など、院内スタッフへの教育にも尽力したいと思っています。

 

※PCAポンプとは、医療者があらかじめ鎮痛薬(医療用麻薬)の投与量を設定し、患者さんが痛みのあるときに患者さん自身が操作して、安全かつ効果的な量の鎮痛剤をすぐに投与できる医療機器のこと

★優秀演題賞受賞★ 演題名「当院におけるフォローアップシートを活用した薬薬連携の現状について」

洛和会音羽病院 薬剤部 主席係長 伴 具也(ばん ともや)

外来がん治療認定薬剤師

2019年改正薬機法の施行により薬剤交付後の服薬フォローアップが義務化され、また、2020年度の診療報酬改定において「連携充実加算」、「特定薬剤管理指導加算2」が新設されるなど、がん患者さんに対する薬剤交付後の継続的なフォローアップが期待される状況を背景に、洛和会音羽病院では、2020年4月から、京都府病院薬剤師会で作成されたフォローアップシート(以下、FUS)を活用し、近隣の保険薬局と連携しながら、副作用などのフォローを実施しています。

薬薬連携に欠かせないツールの標準化

近年、がん薬物療法は外来で行うことが増えており、患者さんは2~3週間おきに受診して治療を進め、その間はご自身とご家族で体調管理をすることになります。それをフォローするためにも、保険薬局の方に治療計画や副作用情報を共有し、必要に応じて次回の外来までに電話による体調管理などをお願いしています。

これまでも薬薬連携(病院薬剤師と薬局薬剤師の連携)で使用できるツールはたくさんありましたが、薬ごとにフォーマットが異なるため種類が多く、使いにくい、一目でわかりにくいなど、問題点が多々見られました。そこで、私が所属している京都府病院薬剤師会の「連携支援ワーキンググループ」で、他病院の薬剤師の方々と協力しながら、改善を重ね、標準化したFUSを作成しました。それを実際に近隣の保険薬局の皆さんに活用いただき、外来がん治療患者さんのサポートへ生かしています。

学会で評価されたポイント

学会では、FUSの活用状況だけでなく、シートを通じて保険薬局からの患者情報をもとに連携した結果、医師への処方提案につながり、患者さんの体調改善につながった具体的な事例が提示できたことが評価されたと考えています。

今後の展望

今回は、当院のみの症例でしたが、今後は、FUSが統一様式である利点を生かして“多施設共同研究”へ展開し、FUSを用いた薬薬連携の有用性についてさらに評価していく所存です。また、研究成果を論文化することで、「1人でも多くの外来がん患者さんの助けになりたい」その思いを、多くの医療従事者間で共有していきたいと考えています。

がん薬物療法 ~スペシャリストの思い~

 

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