子宮がんにおける最新医療 ~予防と治療~

子宮がんにおける最新医療 ~予防と治療~

子宮がん ~女性特有のがん~

洛和会音羽病院 産婦人科  伊藤 美幸(いとう みゆき)
産婦人科・腹腔鏡手術センター
伊藤 美幸(いとう みゆき)

洛和会音羽病院

副院長
産婦人科 部長
産婦人科 腹腔鏡手術センター センター長 兼務

女性特有のがん 子宮がん

日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性65.5%、女性51.2%※といわれています。
日本人女性のがん部位別罹患数は、乳がんが9万7,142人(22.5%)で最も多く、次いで大腸がん(15.7%)、肺がん(9.8%)、胃がん(9.0%)、子宮がん(6.7%)と続き、中でも女性特有のがんである子宮がんは年間29,000人以上※が罹患し、子宮体がんについては増加傾向にあります。

※2019年国立がん研究センター がん統計より

若年層にも多い子宮頸がん


子宮頸がんは、子宮の入り口(子宮頸部)にできるがんのことです。
前がん状態(子宮頸部異形成)を経てがんになります。
がんになったとしても、早期であれば、比較的治療がしやすく5年生存率も高いので、定期的に検診を受けることが重要です。
2000年代以降、若い世代の性行動の変化により、20歳代前半で罹患する方が増えています。
治療方法として、手術、放射線治療、化学療法があり、がんの進行程度により病期(ステージ)として分類され、それを元に治療方法を検討していきます。
若年層にも多い子宮頸がん

若年層にも多い子宮頸がん

若年層にも多い子宮頸がん

どんな人が子宮体がんになりやすい?

子宮体がんは、子宮体部にできるがんで、ほとんどが子宮内膜から発生するがんです。
子宮がんの発生の多くは、卵胞ホルモン(エストロゲン)という女性ホルモンが深く関わっています。
生活習慣との関りが深く、肥満症の方や、若いころに月経不順があった方に多いと言われています。
進行すると、子宮頸部や膣、リンパ節、卵巣、卵管に広がり、肺や肝臓など離れた臓器に転移することもあります。

どんな人が子宮体がんになりやすい?

術後は、経過観察しながら、再発リスクに応じて、薬物療法や放射線治療などを行います。

治療法として、Ⅰ期・Ⅱ期では手術(開腹または副膣鏡下手術)を行うことがほとんどで、術後に抗がん剤を使うこともあります。
Ⅲ期・Ⅳ期は、手術可能であれば開腹手術を行い、必要に応じて抗がん剤治療(化学療法)を実施します。
当院では、2回目以降の化学療法は外来で治療を進めていきます。

不正出血やおりものの異常があれば早めに受診を

子宮がんの初期は自覚症状が乏しいため、早期発見のためには検診を受けることが何より有用です。
月経時以外の出血や閉経後の不正出血、おりものの異常など、子宮に違和感がある場合は、早急に産婦人科を受診してください。

がん患者さんを多職種チームでケア

がん患者さんを多職種チームでケア

洛和会音羽病院は京都府がん診療推進病院として京都府から指定を受けています。
当院では、がんに対して、治療(手術療法・化学療法・放射線治療)はもちろんのこと、他の診療科との連携、精度の高いがん検査などの医療的支援だけでなく、栄養サポートチームや緩和ケア病棟、がん相談センターを設置し、がん患者さんの病状に合わせた集学的治療を行っています。
当院のがん相談センターには公認心理師・医療ソーシャルワーカー・がん看護専門看護師が在籍し、生活面、社会面、心理面なども含め、包括的にケアしています。

 

より精度の高い検査を実現

MRI検査機器『Ingenia Ambition S』
当院では、2024年4月にMRI検査機器『Ingenia Ambition S』を導入しました。
磁場の均一性が高く動きのある部位の撮影でも安定した画像が得られるなど、これまで以上に精度の高い画像診断と撮影時間の短縮に寄与しています。
MRI検査機器Ingenia Ambition 1.5T

進化する手術療法 ~手術支援ロボット ダヴィンチ(da Vinci Xi)~

子宮頸がんの前がん状態であれば低侵襲なロボット支援下技術を検討します。
ロボット支援下手術は、体に小さな穴を開けて行うため、開腹手術と比べて傷口が小さく、出血量も抑えられ、術後の回復が早く患者さんの負担も軽減されるメリットがあります。
人間の手の動きを正確に再現した人の手首より大きな可動域を備えたロボットアームを医師が操作することでより精緻な手術を実現します。

手術支援ロボット ダヴィンチ(da Vinci Xi)

在宅生活の継続が可能な外来化学療法

在宅生活の継続が可能な外来化学療法

当院には、患者さんが自宅で生活しながら、通院で抗がん剤治療(化学療法)を受けられる外来治療センターを設置しています。
患者さんが薬剤を点滴で投与する間過ごされるため、プライバシーと過ごしやすさを重視。各リクライニングチェアには液晶テレビも設置しています。

がんと診断されても

洛和会音羽病院 副院長 伊藤 美幸(いとう みゆき)

ご自身ががんを疑われて、あるいはがんと診断されて紹介状を渡されたとき、治療や予後だけでなく、治療中や治療後の生活はどうなるのか、お金のことはどうなるのか、ご自身もご家族も不安で不安でたまらない思いだと思います。
洛和会音羽病院 産婦人科ではそういった患者さんの思いも含めて全て受け止めて全力で治療にあたります。
当院は総合病院であり、他科の医師との連携やがんサポート体制も充実しています。
患者さんとご家族をトータルでサポートしますので、どうぞ安心してお越しください。

お問い合わせ

洛和会音羽病院 産婦人科
TEL:075(593)4111(代)

※まずはかかりつけ医をご受診ください。
当院は総合病院のため、紹介状なしのご受診には選定医療費がかかります。

自覚症状が無くても定期的な検診を!

洛和会京都健診センター
洛和会音羽病院 健診センター

【予約】0120(050)108

※子宮がん健診はこちらからご予約いただけます。

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公開日時 : 2024年07月31日 (水)

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