皆さん、こんにちは・こんばんは。総合内科のTです。
たった4つの腹部疾患を書かせていただいたのですが、いろいろな分野の腹部疾患があるもんですねえ。これが胸部、頭部・中枢神経系、などなど…となると、いろんな病気があるわけですよ。世界中の医師たちが日頃知力の限りを尽くし、診療にあたっているのに頭が下がります。(自分も医者ですが…思わず第三者的にそう思ってしまいます)
さて、今日のお題は…二次検診です。しかし、二次検診自体が焦点ではありません。いわゆる「ついで」が問題でした。いってみましょう。
くどいですが、患者さんの特定を避けるために、所々実際の症例と変えていることをお伝えしておきます。
55歳、女性。
毎年職場の健診を受けており、脂質で異常を指摘され、毎年受診をしている。健診結果を見ると今回も同じだ。名前をお呼びして、患者さんが入ってくると、座るやいなや「コレステロール値がちょっと高いですけど、食事療法を頑張っているから薬はいいです」とのご発言。…それについてこちらからお答えする前に、彼女はさらに続けた。
「右の背中が痛いんですよ、時々。20年以上痛い」
20年以上痛い背部痛。右側。20年という時間で重症疾患ではないと分かるが、何だろう。触診しますと…
「そこです。それです。なんかあるでしょう? 癌でしょうか?」
癌が20年もあるわけないので、それは考えないのですが……これは!
何だと思います? 答えが見えないように、数行開けておきますから、考えてみてください。
第十二肋骨先端、でした。
同年に施行された胸部レントゲンがあったので、それをお見せして説明(どうして施行されたかまで調べてません)。通常の方より第十二肋骨が長く、右側腹部にまでかかろうかという位置にあり、そこを押したり肋骨にtensionをかけると同部に痛みが誘発されました。しかし肋骨に沿って押しても痛みはありません。骨折ではなさそうです。転倒などもしていないとおっしゃります。なんで痛いのでしょうか? しかしその腫瘤が問題がないものと知って安堵されてました。明らかに入室時の突き刺さるような言い方ではなく「何十年も悩んでいました。原因がはっきりしてよかった。初めて聞いたんです。検診と関係ないけど、相談してよかった」と安堵感満載の発言でした。
ちょっと良い気持ちですね。世界中の医師たちもこうした患者さんの言葉が一番の励みで最前線に立たれているのだと思います。
ところで、痛みではありませんが、こういうのも経験しています。50歳代男性、やせ型の方が、胃癌ではないか、と来られました。テレビで心窩部に腫瘤を触れ胃癌が見つかった、とやっていたので自分も触ってみると、あるではないか、心窩部に腫瘤が! と、来院されました。
なんでしょう。同じように考えてください。また答えが見えないように数行開けておきます。
剣状突起、でしたとさ。
以上、今回はここまで。