総合内科のTです。
今回のお題は「うそのような本当の話」です。
標題は、今後もありそうなので、第一弾、とかつけようかとも思いましたが、連続して続くシリーズものと誤解釈される可能性がありますので、標題のままにします。きっと、第二弾、とか、Part2とか、今後ありますがね…
では、今回の内容です。
何がうそのようなのか、いってみましょう!
何年か前(もっと前?)のとある病院の救急室です。研修医というにはちょっと年季の入った研修医先生が混み合った救急室のカーテン内の一角で意識障害と思しき患者さんを診ていました。私は別の患者さんの初療にあたっていました。私は、その研修医先生の指導医でした。
研修医先生「〇〇さーん! ここはどこですかーーー!!」
患者さん「……かた…かた…」
研修医先生「あー、だめだ、すっかり意識障害に陥っていてうわ言を言ってる…」
Tの頭の中「(声が大きすぎてうるさいなー。あとぼんぼんたたきすぎだよ)」
すると、とある先生が「△△先生。もしかして、肩をたたいてないか?」
研修医先生「……」
肩をぼんぼんたたいておられました…
氏名、日時や場所、生年月日を訪ねると、その程度の質問には、ちゃんとお答えくださいましたとさ。
確かに「かた、かた」と言われると、すぐにはうわ言と思ってしまいますが…強くたたきすぎたのも一因でしょうか…肩をたたかれてここはどこ? と聞かれたら、患者さんによっては「肩」と言いますよね。
うそのような経験はTにもあります。
T「指を追いかけてみてください」
外眼筋の検査ですね。すると、ちゃんと動きました。「EOMI(extraocular movement intact;外眼筋運動問題なし)」と電子カルテに入力しようとすると…
患者さんが身を乗り出してさっき見つめていた私の指を見つめて追いかけているのです!
「もういいですよ」と言っても…差し出した手の人差し指をじーっと見つめているのです。認知症のある方の脳神経所見をとっていたのですが…同伴のご家族の方に「もういいんですよ」と促されても私の指に穴があくまで見つめておられました…
さらに。ちょっと話はずれているのかもしれませんが、もう一つ。
高熱と、意識障害でぼーっとされているがご家族の介助で独歩できる中高年男性がwalk-inで来られたときのことです。神経所見をとる一環で、麻痺のチェックで手を握ってもらって検査をしていた頃があるのですが…
T「では手を握ってください……!!!!」
とても痛かったのです! 痛さのあまりいすから立ち飛び上がり両手を振りながら苦悶様表情を呈しながら部屋の中をぐるぐるしてしまいました…相手は体格のいい農夫さんでした…結果的に髄膜炎疑いで腰椎穿刺をして(男性4・5人がかりで抑えて検査したのを覚えています)、最終的には肺炎球菌性髄膜炎の診断となったのですが、この診察法は思慮が足りませんでした。
いろんなうそのような本当の話があると思います。今後もeducational、はたまた、とほほ…も含めてお送りしてまいります。