- 開催日:2018年3月29日
- 講師:洛和会音羽病院 医療介護サービスセンター地域連携課 主任 緩和ケア認定看護師 畑 弥生(はた やよい)
はじめに
レスパイト入院は、在宅で療養生活を送っておられる患者さまや、ご家族を支援する力となる仕組みです。本日はレスパイト入院について、さまざまな観点からお話しします。
超高齢社会のなかで
日本は既に国民の21%以上が65歳以上という超高齢社会になっています。人口構成の推移と予測を見ると、少子化と相まって、今後さらに高齢人口の比率が高まります。認知症高齢者の増加や、独居・夫婦のみ世帯の増加も顕著です。
これに対し、国は「地域包括ケアシステム」という概念を打ち出し、病気になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしができる社会を目指しています。レスパイト入院は、それを支える仕組みの一つです。
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レスパイト入院とは
レスパイトとは、「一時中断」「小休止」「一時預かり」といった意味を持つ言葉です。
レスパイト入院とは、自宅療養中の患者さまに一時的に入院していただくことにより、介護しているご家族に休息をとってもらったり、ご家族自身の急な病気やけがに対応したり、冠婚葬祭に出席する…などができる仕組みです。治療や検査目的の入院ではありません。独居の方でもご利用いただけます。
介護保険でも「ショートステイ」で患者さまを一時的にお預かりする仕組みがありますが、レスパイト入院は、ショートステイでは難しい医療依存度の高い患者さまを受け入れることができる医療保険の仕組みです。
できること、できないこと
レスパイト入院では、できることとできないことがあります。
レスパイト入院は、病院内の「地域包括ケア病棟」への入院となります。ベッド数に限りがあるため、満床の場合は受け入れができません。地域包括ケア病棟は、病状が安定された患者さまがご自宅などに退院される前に過ごされる病棟です。
入院の費用
介護保険を利用するショートステイと、医療保険を使うレスパイト入院の費用は以下の通りです。
高額療養費の補助制度があります。患者さまご自身、またはご家族などが健康保険組合など保険者に申請していただくことで減免措置が受けられる制度ですが、詳細はケアマネジャーなどにご相談ください。病院での申請は原則いたしかねます。
レスパイト入院の申し込み方法
レスパイト入院は、かかりつけ医やケアマネジャーなどを経由しての申し込みとなります。
体験者ご本人・ご家族の声
体験者から寄せられたいくつかの声をご紹介します。
- 別の病院は2週間以上でないとレスパイト入院を受け入れてくれなかった。洛和会ヘルスケアシステムの病院は、短期間でも利用でき、リハビリもしてくれるのでありがたい
⇒ それぞれの生活スタイルに合わせた利用が可能です。 - 家が遠いので息子にも迷惑を掛ける。ここに入院でき、安心して過ごせている。ここの人はみんな親切でありがたい
⇒ 独居の方でもご利用可能です。 - これまでショートステイを利用していたけれど、夜間の痰の量が増えてきたことでショートステイが難しいと言われて困っていた。病院だと安心できます ⇒ 医療処置が必要な方でも利用可能です。
- (ご家族より)介護疲れのため利用しました。明るい病棟で雰囲気も良かった。リハビリもしてもらえるのでうれしい
⇒ リハビリもできます。
介護の希望
ご自身やご家族が介護を受ける場合や、人生の最終段階になったとき、どこでどんなふうに過ごしたいでしょうか。ご家族とぜひ、話し合ってください。国が調べたいくつかのデータを以下に示します。
レスパイト入院の必要性
患者さまが住み慣れた地域や在宅での生活を継続していくためには、介護者であるご家族に休息を取っていただくことは重要です。そのためには、レスパイト入院やショートステイなどをうまく利用することも必要ではないでしょうか。
レスパイト入院によって、これまで介護にあたられてきたご家族が介護から解放され、一時期でも休養をとることができます。そのことにより、以下のようなメリットがあります。
おわりに
レスパイト入院は、住み慣れたご自宅、地域で医療や介護のサービスを受けながら過ごすことにより、自分らしく生きることにつながる選択です。洛和会ヘルスケアシステムでは以下の施設でレスパイト入院やショートステイを受け入れています。
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