- 開催日:2018年4月5日
- 講師:洛和ヘルパーステーション醍醐駅前
介護福祉士 白石 由実(しらいし ゆみ)
はじめに
私が働いているヘルパーステーションでは、職員3人と登録ヘルパー16人が働いています。主に介護保険の利用者さんにヘルパーを派遣する会社です。本日は、ヘルパーの仕事のうち、身体介護と生活援助について、ご説明します。
ヘルパーを利用するには
ヘルパーは、国の制度に則った研修を受け、認定された介護サービスの専門職です。ヘルパーを利用するには、市町村への申請が必要です。
区役所の窓口で要介護申請を行うと、訪問調査や審査などが行われ、要介護認定が下ります。認定に即して介護サービスが受けられます。申請は代行も可能です。手続きなど詳しいことは、お近くの高齢サポート(地域包括支援センター)などでお尋ねください。
介護認定には、種類があります
認定は8段階に分かれています。軽い方から、「事業対象者」「要支援1・2」「要介護1~5」と分かれ、ご自分がどの区分に認定されるかによって、受けられるサービスが異なります。
このうち、事業対象者と要支援1・2とされた人は、市町村が運営する「総合事業」の対象となります。要介護1~5と認定された人は国の介護保険制度の対象になります。
訪問介護サービスにも種類が!
総合事業サービス、介護保険サービスともに、身体介護と生活援助があります。
このうち身体介護は
- 直接体に触れる介護
- 自立支援のための見守り
に分かれます。
直接体に触れる介護には、着替えや入浴、排泄のお世話などがあります。
生活援助は、
- 調理
- 洗濯
- 掃除
- 買い物
など日常生活の援助で、これらの家事の支援を受けなければ日常生活を営むのに支障が生じる場合に行うサービスです。
生活援助の利用ができるのは
- 利用者さんが一人暮らしの場合
- 利用者さんのご家族が障害や病気の場合
- 利用者さんのご家族が障害や疾病でなくても同様のやむを得ない事情により家事を行うのが困難な場合
です。
事業対象者、要支援1・2の方へのサービス
総合事業サービスの対象となります。総合事業サービスとは、「高齢者の能力に応じて、自立した生活が営めるよう支援するもの」で、ご自身でできることを維持・増やすことを目指し、できないことを補うサービスです。
つまりヘルパーは、その人の「困った」「難しい」ことへの支援を行います。人によって困ったことや難しいことは異なりますが、ヘルパーがお手伝いすることで、相手の方のやる気を引き出し、自身でできることは自身で行っていただき、できることを増やして自立した生活が継続できるように支援する。それが総合事業サービスです。
要介護1~5の方へのサービス
介護サービスの対象となります。介護サービスとは、「可能な限り自宅で暮らせるよう支援する」サービスで、生活全般にわたる援助を行います。
つまりヘルパーは、利用者さんができるだけ自立した生活が送れるよう、「その人のできないことへの支援や介護」を行います。
「要支援」と「要介護」、ヘルパーのサービスは同じ?
要支援と要介護のサービスは異なります。買い物同行や入浴、掃除、調理の例を以下に示します。
※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。
突然ですがクイズです
Q&Aで、ヘルパーができること、できないことをご説明します。
Q 季節は春。お花が大好きな利用者さん。今年もたくさんの花が咲きそうな勢い。そんなある日の訪問時、「今日はしんどいから花に水をあげてほしい」と頼まれました。この依頼、ヘルパーは応じられるでしょうか?
A すみません、できません。
Q 季節は春。陽気に誘われて友人から遊びに来るとの電話が。そんなある日の訪問時、「お客さんが来るから、一昨年から使っていない客間の掃除をしてほしい」と頼まれました。この依頼、ヘルパーは応じられますか?
A すみません。できません。
Q 買い物のサービスを利用している利用者さん。ある日の訪問で買い物のリストを聞くと、「昨日、ドッグフードを切らしてしまった。ドッグフードを一緒に買ってきて」と頼まれました。この依頼、ヘルパーは応じられますか?
A すみません。できません。
「えー、なぜ…」と思われるかもしれませんね。以下、なぜできないのかを説明します。
ヘルパーは、ケアマネジャーが立案したケアプランに基づき、訪問介護事業所のサービス提供責任者が作成した計画書に従ってサービスを提供しています。
来客の対応、本人以外の部屋の掃除などご家族のための家事、ペットの世話、家具・電気器具などの移動、修繕、模様替え、大掃除、床のワックスがけ、特別な手間がかかるおせち料理…などは提供できないと制度上、定められています。
このため、上記のような依頼にお応えできないのです。
「え、こんなこともできるの」
できないことをたくさん挙げましたが、逆に「こんなこともできる」例を挙げてみます。
ケアプランでは、次のような行為は認められています。
就寝、起床の介助では、口腔ケア(歯磨き、入れ歯の洗浄)、更衣介助、洗面、排泄介助、服薬介助、車いす移乗介助などもできます。薬の受け取りは、処方箋のあるものを薬局に受け取りに行けます。
その他、おむつの交換や清拭、足浴、食事介助、外出介助、デイサービスの送り出しや迎え入れなどができます。
ケアプランに沿ったサービスだから
以上のように、ヘルパーは基本的に、ケアマネジャーが立案したケアプランをもとに、サービスを提供しています。
サービス利用には利用者さんの負担だけでなく、税金も投入されていますので、無制限にサービスを提供するわけにはいかないのです。
堅苦しいと感じられることも多いと思いますが、その点はご了承をお願いします。
利用者さんが、これまでの生活を送れるよう援助するエキスパートがヘルパーです。
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