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医療 洛和会音羽記念病院

薬で困っていませんか? ~薬とうまくつきあうために~

投稿日:2017年3月22日 更新日:


はじめに

お薬との付き合い方は、昔とは変わってきています。本日は、そんな環境の変化もご説明しながら、ポリファーマシー(多剤併用)について、お話しします。

こんなことありませんか?

「風邪をひいて病院に来たのに、抗生物質を出してくれない」。そんな経験をされた方は少なくないと思います。なぜ、抗生物質(抗生剤)を処方してくれないのでしょうか。理由があります。風邪に、抗生物質は効かないからです。
ではなぜ、効かないのでしょうか。風邪の原因のほとんどがウイルスなのに対し、一般的によく抗生剤として使用される薬は、ウイルスに効くようにできていないためです。
しかも、一部の経口抗菌薬は、吸収が非常に悪いため、ほとんどがうんこになって体外に出ていきます。さらには、風邪には効かないうえに、副作用を起こすことがあります。腸内細菌が殺されることで、お腹が下ったりすることがあります。
抗生剤のもう一つの問題は、耐性菌(抗生剤が効かない菌)の増加です。本当に必要な疾患に対し、抗生剤が効かないようでは困ります。そのため、だいたい「うんこ」になってしまうような抗生剤は、できるだけ出さないようになっているのです。

ポリファーマシー

この言葉をご存じですか? ポリファーマシーとは、たくさんの薬を飲んでいる状態のことを言います。厳密に何錠と決まってはいないのですが、概ね5~6錠の薬を同時に飲んでいたら、ポリファーマシーに該当すると考えられています。

ポリファーマシーの何が問題?

  • 飲みづらい
    薬がたくさんあると、薬をきちんと選ぶのも、飲み込むのも大変です。
  • 副作用の可能性
    薬の数が増えるほど、副作用の可能性も増えてしまいます。ちなみに、副作用とは「薬の使用に伴って生じた、治療目的とは沿わない作用全般のこと」です。例えば、風邪をひいて薬を飲んだら眠たくなったような場合です。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

副作用は、どんな薬でも起こるの?

どんな薬でも、起こりえます。そもそも薬とは、「心身に、特殊な効果や一定の影響を与えるもの。特に、病気や傷などを治したり、健康を保持したりするために、飲んだり注射したり塗布したりするもの」(大辞林)です。「くすり」という読み方は、「奇(くす)し」から付いたとも言われています。奇しき力を発揮する=不思議な力を発揮する物、ということで名づけられた薬ですが、実は化学物質であり、体にとっては異物です。そのため、「クスリもリスクとなることがある」のです。
さらに、体質や体調、年齢、飲み合わせなどさまざまなことによって、副作用は起こる可能性があります。若いときは副作用がなかった薬なのに、高齢になったら副作用が出た、といった場合もあります。
なので、ポリファーマシー(多剤併用)の状況は、なるべく避けたいのです。

どうして、ポリファーマシーは起こるの?

以下のような理由が考えられます。

薬は飲まないほうがいいの?

そうではありません。必要な薬だけを、しっかり飲むことが大切です。そのためには、患者さまの側も、薬の特徴をよく知っておくことが大事です。例えば、透析患者さまに出している薬で、食後に飲む薬がありますが、もし食事をしなかった場合、飲まなくてもよいものがあります。こういうことを知っていると、迷わずに済みます。気になることがあったら、いつでも薬剤師に相談してください。

薬が減ると不安…

病院でも、ポリファーマシーの弊害に着目して、薬の数を減らす取り組みを進めています。しかし、いままで飲んでいた薬の数が減ると、不安を覚える方もおられることでしょう。でも、薬が減ったその裏では、病院側の真剣な取り組みがあるのです。不安になったら、医師や看護師、薬剤師に聞いてみてください。お薬が減っても大丈夫なことが分かります。

必要以上のお薬をもらわないようにするためにも…

「お薬手帳」を活用してください。病院や薬局ごとに複数のお薬手帳を持たず、1冊にまとめることが大切です。1冊の場合、同じような薬が複数の病院から出ていると、お薬手帳を見た薬剤師が病院に問い合わせて、薬を減らすこともできます。入院時や、薬局に行く際、市販の薬やサプリメントを買う場合でもお薬手帳を見せてください。

おわりに

  • 薬は、適正な量を、適切に使用してこそ、十分な効果を発揮します。
  • 必要な薬は、その人の体調、年齢、状況、病期などさまざまな要因で変わります。
  • 医師や薬剤師らの指導があれば、お薬は減っても大丈夫です。

質疑応答から

Q 薬を減らしたい場合、お医者さんに聞くのですか、薬剤師に聞くのですか。
A ドクターからの処方を薬剤師が独断で減らすことはできません。ですが、薬剤師は、ドクターに伝えることができます。薬剤師の提案で、医師が薬を減らしたり増やすことができます。医師に言いにくい場合は、ぜひ薬剤師に言ってください。

Q カプセルの薬を飲む場合、水はたくさん飲む必要がありますか。
A 基本的には、コップ一杯ぐらいの水で飲むように、薬は作られています。また、薬によっては「飲んだ後30分ぐらいは横にならないでください」というものもありますので、ご注意ください。

Q お薬手帳の保存期間は?
A 情報が更新されているので、最新の1冊だけでいいです。ただし、交付の端境期などもありますので、新旧の2冊あれば、より安心です。お薬手帳は、患者さま自身も書いてほしいです。例えば、薬を飲んだ後にアレルギーが出た、などの副作用情報は、ぜひ最新の手帳に書いておいてください。

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