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医療 洛和会音羽リハビリテーション病院

お薬とうまく付き合うために

投稿日:2018年1月11日 更新日:


はじめに

お薬は私たちにとって身近な存在ですが、飲み方次第で逆効果にもなります。本日は、お薬と上手に付き合うために大切なことについてお話しします。

お薬を服用するときの7つの法則

  1. 毎日決まった時間に服用します
  2. 服用量を守ります
  3. 病気が治ったと思っても決められた日まで服用し続けます
  4. 他の人からもらって服用したりしません
  5. 他の人に自分のお薬をあげたりしません
  6. 前の病気の時にもらったお薬は使いません
  7. お薬はいつもきちんと整理して保管します

以下、7つの法則がなぜ必要なのか、見ていきます。

お薬の服用について

法則1と2

お薬は、飲んだ後、体内における薬の血中濃度が一定の範囲内にあることで効果的に働きます。一度にたくさん飲んで血中濃度が高くなり過ぎると副作用の恐れが出てきますし、濃度が低過ぎれば効き目が現れません。血中濃度を正しい範囲内にするためには、指示された時間に決められた量を飲む必要があります。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

法則4~6

薬は今のあなたの病状と体質に合わせて処方されています。決して他人にあげたり、もらったりしないでください。体格、性別、年齢などさまざまな要素の違いで、副作用が出る可能性があります。

法則7

同じ効果のお薬で、薬の名前だけが変わることもあります。
薬局で調剤された粉薬で、お薬の名前が書いていないものなど、お薬の袋から出してしまうと、何の薬かわからなくなることもあります。
お薬はいつもきちんと整理して保管しましょう。

多剤併用、ポリファーマシーって何?

明確な定義は定まっていませんが、たくさんの薬を処方された結果、体への有害な影響が心配されるときに用いられる言葉です。高齢者のなかには複数の疾患ごとに薬を処方され、何種類もの薬を飲んでいる人も珍しくありません。実はこうした多剤併用の安全性は確認されておらず、近年、その危険性や副作用が懸念されています。一般的には、5~6種類以上の薬を飲む場合にポリファーマシーということが多いです。

この図のとおり、薬の数が増えることで有害事象や転倒の発生率が高まります。薬剤数が増えることで飲み忘れや飲み間違いが起こることも原因の一つとみられています。

多剤併用は、

  • 薬剤費の増大に伴う医療費の高騰
  • 飲み忘れや飲み間違いの原因にもなる
  • 有害事象が起こる可能性が高い

といった問題があります。(有害事象とは、薬物との因果関係がはっきりしないものを含め、薬物を投与された患者さまに生じたあらゆる好ましくない、あるいは意図しない徴候、症状、病気を指します)

多剤併用の原因
  • 処方する医師側の問題:患者さまの訴えに対して処方、薬の副作用に対して処方するなど
  • 患者さま側の問題:不定愁訴が多い、疾患数が多いなど
  • 社会背景:診療科・医療機関間の連携不足。処方理由が不明な場合、特に他の医師の処方は中止しにくいなど

高齢者は薬物有害事象が多い

高齢者は若者に比べて薬物有害事象の発現が多いといわれています。急性期病院の入院例では、高齢者の6~15%に薬物有害事象を認めており、60歳未満に比べて70歳以上では1.5倍~2倍の出現率を示しています。(高齢者の安全な薬物治療ガイドライン2015より)

睡眠薬の使用方法(不眠の治療方法)で見てみましょう

高齢者の不眠

60歳以上の高齢者では、約3割の人が何らかの睡眠障害を有するとされています。

2,800人を対象とした調査では、睡眠薬を常用する(過去1カ月間に週3回以上、睡眠薬を使用した)人の割合は、加齢とともに高まり、80歳以上の女性では21.8%にも達しています(日老医誌2012より)

不眠症の治療

治療の流れは以下の通りです。

睡眠衛生指導とは

良質な睡眠を確保するためにも睡眠に関する適切な知識をもち、生活を改善するための指導法です。

  • 定期的な運動:なるべく定期的に運動しましょう。適度な有酸素運動をすれば寝付きやすくなり、睡眠が深くなるでしょう。
  • 寝室環境:音対策のためにじゅうたんを敷く、ドアをしっかり閉める。寝室を快適な温度に保つ。
  • 規則正しい食事生活:規則正しい生活をし、空腹のまま寝ないようにしましょう。脂っこいものや、胃もたれする食べものを就寝前にとるのは避けましょう。
  • 就寝前の水分摂取を控える:就寝前に水分を摂取しすぎないようにしましょう。
  • 就寝前は刺激物の摂取を控える:寝るための飲酒は逆効果です。就寝前の喫煙も避けましょう。
最終的には減薬、休薬を目指して

基本的に、睡眠薬は無期限に長く服用する薬ではありません。不眠症が治ったら、適切な時期に減薬もしくは休薬するべきです。

ご自身の不眠症が治っているか判断するポイント

一つ目は夜間の不眠症状が改善していること。二つ目は(良眠できたおかげで)日中の心身の調子が良いこと。この二つが揃っていることが休薬を成功させるコツです。

不眠症が十分に治らないうちに睡眠薬をやめない

不眠が再発したり、悪化したりすることがあるので注意しましょう。不眠症患者さまのなかには、さまざまな理由により睡眠薬を長期間にわたり服用する必要がある方もいます。その場合には、副作用に注意しながら睡眠薬を長期服用する治療法もあるので、主治医に相談しながら治療方針を決めてください。(「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」より)

睡眠薬の副作用
  • 翌日の眠気:朝の目覚めがスッキリしない、日中も眠いという場合には、薬の飲み過ぎの可能性もあります。
  • ふらつき:筋肉の緊張が緩み、転倒しやすくなります。十分注意してください。
  • 健忘(けんぼう):薬を飲んだ後の行動を覚えていないことがあります。高齢者では、「せん妄」という状態になることもあります。
  • 依存性:やめたときに「離脱症状」を生じるために、やめにくくなります。(離脱症状とは、飲んでいる薬を中止したときに生じる不快な症状のことです。もともとの症状と非常に似ているため、離脱症状だと気が付きにくいことがあります)
睡眠薬や抗不安薬を飲んでいて、次のようなことがあてはまりませんか?
  • 薬(睡眠薬や抗不安薬)を2種類以上飲んでいる
  • 薬(同)を6カ月以上継続して飲んでいる
  • 薬(同)を飲み忘れた日にひどく眠れず、不安であった
  • 薬(同)を手元に持っていないと不安である
  • 薬(同)を飲まないと眠れないのではと不安になる

当てはまる方は、これらの薬の依存を生じているかもしれません。

睡眠薬を減らしたい、やめたいときには…

「やめていこう」という気持ちを固めることが大切です。

安全にやめていくことができるように、まず、自分は薬をやめてもよい状態にあるのかどうかを医師に確認しましょう。自己判断で急に薬をやめると「離脱症状」を生じることがあり、注意が必要です。医師の指示のもと、ゆっくりと時間をかけて減らすことが大切で、数カ月~年単位で減らすことを考えるとよいでしょう。

薬はリスクを併せ持つものです

病気やけがを治すのに役立つ「薬」。しかし、程度の差はありますが、どんな薬でも副作用を起こすリスクがあります。正しく使わなければ、思わぬ副作用を引き起こすことがあります。そのため、専門家から適切なアドバイスを受けて、正しい使用方法を理解してから使用しましょう。(厚生労働省・日本薬剤師会発行「知っておきたい薬の知識」パンフレットより抜粋)

薬は飲まないほうがいいの?

そうではありません。

必要な薬だけを、しっかり飲むことが大切です。そのためには、患者さまも、薬の特徴(薬の名前、いつ服用するか、どんな効果があるのか、飲み忘れたときはどうするのか、どんな副作用があるのか)をよく知っておくことが大事です。

自分の飲んでいる薬、知っていますか?

  • 薬の名前は?
  • いつ服用しますか?
  • どんな効果がありますか?
  • 飲み忘れたときはどうしますか?
  • どんな副作用がありますか?

などなど

医師や薬剤師に相談することで、次のような変更が可能となる場合があります
  • 用法の簡略化:家族が朝しかいないため、薬の回数を朝1回だけに変えてもらう、など
  • 剤型調剤方法の変更:錠剤が飲めないため、貼り薬に変えてもらう、など
  • 管理方法の提案:一包化への変更、など

飲み忘れを防ぐための支援ツール

一包化調剤

薬剤数が多く、1回服用量が薬剤により異なっている場合などには、一包化調剤し、服薬の簡便化を図る。

お薬カレンダーやお薬ケースを活用する
お薬手帳を用いる

お薬手帳は「あなた」の手帳です。サプリメントや市販薬などを購入する際にも、お薬手帳を見せてください。そして飲んだときには、その名前や、飲んだ回数、飲んだ量なども記載してください。その他、気になった症状がある場合などにも、その症状を手帳に記載してください。いつでも携帯していると、災害時など非常事態にも、お薬の継続服用が容易になります。

 

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