- 開催日:2016年7月13日
- 講師:洛和会医療介護サービスセンター四条西洞院店 係長 介護支援専門員 戸島 智子(とじま ともこ)
はじめに
本日は、急に介護が必要になった時のために、介護保険の申請から介護サービスの利用まで、在宅で受けられるサービスを中心にお話しします。
そもそも介護保険とは?
高齢者の尊厳の保持と自立支援を目的に、介護を社会全体で支える仕組みとして2000(平成12)年から始まりました。財源は、40歳以上の国民が支払う介護保険料が半分、国や自治体が負担する公費が半分です。介護保険が利用できる人は、65歳以上で介護が必要な状態にある人と、40~64歳で国が定める16種類の疾病が原因で介護・支援が必要な人です。費用の1割または2割を支払うことで介護サービスが受けられます。
※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。
誰に、どこに相談したらいい?
介護サービスの相談、申請の窓口になっているところです。
- 市町村の介護保険課
- 地域包括支援センター
- 病院の医療相談室(地域連携室)
- 近隣の居宅介護支援事業所
などです。
2、3、4は、申請の代行も依頼できます。2、4は、ご自宅にも来てもらえます。
要介護・要支援の申請をする
相談窓口で教えてくれた書類を用意して申請(申請代行)します。申請が受理された後、調査員による訪問調査があり、身体機能や生活機能、認知機能など74項目の聞き取りが行われます。できたらご家族も立ち会って、ありのままの状態をお知らせください。 調査結果と主治医の意見書を基に、専門家による認定審査会が開かれ、認定結果が下ります。申請から判定が出るまで、おおむね30日程度かかります。判定は、非該当の方を除くと要支援1・2、要介護1~5の7段階に分かれます。
介護保険サービスの利用
要介護認定が下りたら、ケアマネジャー(介護支援専門員=ケアマネ)を選んで契約し、ケアプラン作成からサービス利用開始に進みます。
ケアマネは、介護を支援する専門職です。介護保険を利用する際のアドバイスや、各種手続きの代行、関係機関との連絡調整、サービスの追加や変更も担当します。ケアマネは、上記の相談、申請窓口や、各種介護施設などにいます。ケアマネと契約することによる利用者負担はありません。
介護保険で利用できるサービス
サービスは、
- 自宅で利用できるサービス
- 自宅から通って受けるサービス
- 自宅から通ったり来てもらったりするサービス
- 入所(入居)して受けるサービス
の4種類に大別されます。各サービスの詳細は、以下のとおりです。
自宅でサービスを受ける
以下、自宅で受けられる各種サービスを紹介します。費用や品目、対象者などの詳細は、京都市が発行している「高齢者のためのサービスガイドブック すこやか進行中!」をご参照ください。
訪問介護
身体介助と生活援助が主な内容です。身体介助には、食事や排せつ、入浴介助や、起床・就寝介助、買い物同行、通院などの乗降介助などがあります。生活援助には、日常の家事全般が対象ですが、庭の草むしりなど、依頼できない介助がありますので、注意が必要です。
訪問入浴
看護師と介護職員の計3人がご自宅に伺い、持参した浴槽で入浴していただきます。ご自宅の浴室の構造や体調などで入浴ができない方に、安心してお風呂を楽しんでいただけます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
要介護者を対象に、24時間体制で訪問看護や訪問介護サービスを提供します。定期巡回は事前に予定を決めて行います。随時訪問は、事業所が緊急通報端末をご利用者にレンタルし、端末ボタンを押して依頼するものです。訪問時間を夜間(午後6時~午前8時)に限った、夜間対応型訪問介護もあります。
訪問看護
看護師が定期的にご自宅を訪問します。主治医による訪問看護指示書が必要で、病状や病名によって、介護保険を利用する場合と医療保険を利用する場合があります。医師の指示に基づき、病状・体調の管理や、薬の管理、医療処置、排泄・入浴介助などを行います。
訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士などがご自宅でリハビリを行います。主治医による指示書が必要で、外来リハビリと併用はできません。「何に困って、何ができるようになりたいか」目標を持って、リハビリに取り組むことが大事です。
居宅療養管理指導
医師や薬剤師、歯科医師などがご自宅を訪問し、指導や助言を行います。通院困難な人向けのサービスで、指導や助言は介護保険で、治療や診察は医療保険でカバーされます。
福祉用具貸与(レンタル)
介護用品をレンタルできます。福祉用具の専門相談員や、ケアマネと相談しながら用具を選定します。要支援と要介護1の人は原則、車いすや特殊寝台、移動用リフトなどは借りられません。
福祉用具購入
入浴用具・排泄用具などの衛生品で、貸与になじまない福祉用具について、購入費の9割または8割分が支給されます。年間10万円まで使うことができます。10万円を超えた分は自己負担となります。
住宅改修
20万円までの住宅改修に介護保険が使えます。超えた分は自己負担となります。対象となる工事は「すこやか進行中」で確認してください。市町村など保険者に申請し、許可を受ける必要があるので、改修前に住宅改修を請け負っている業者やケアマネと相談し、見積もりなどの申請書類を作成してもらいます。改修後にも保険者に事後申請を行います。
自宅から通ってサービスを受ける
通所介護(デイサービス)や通所リハビリテーション(デイケア)、認知症対応型通所介護、ショートステイなどがあります。
認知症対応型通所介護は、認知症の人に特化したデイサービスで、認知症の診断が必要です。
ショートステイには、生活介護と療養介護があり、短期間宿泊し、身の回りの世話が受けられます。療養介護は、医療的なケアやリハビリなど、医学的配慮が必要な方に適しています。
自宅から通ったり来てもらったりしてサービスを受ける
小規模多機能型居宅介護と、看護小規模多機能型居宅介護がこのサービスです。小規模多機能型居宅介護では、通い、宿泊、訪問介護を組み合わせたサービスが受けられます。この小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせたのが看護小規模多機能型居宅介護です。各施設にいる専任のケアマネがプランの作成にあたります。
介護サービスの利用料
サービス料の負担割合は、1割または2割です。要介護度によって、利用可能な金額が異なります。利用限度額を超えた分は、自己負担となります。介護保険施設などでの食費、居住費などは原則実費負担となるため、注意が必要です。介護保険課に申請して「負担限度額認定証」を交付してもらうと、所得などに応じて食費、居住費の負担が軽減されます。また、介護保険の負担が高額になったとき、申請により、超えた分が払い戻しになります。詳細は「すこやか進行中!」をご参照ください。
こんなときは
サービスや計画は、何度も修正可能です。ケアマネなどの専門家に要望を伝えながら、ご希望に合ったサービスを受けてください。必要な改善がなされない場合やトラブルが起きた場合は、サービス事業者の窓口や、ケアマネ、保険者、地域包括支援センター、国民健康保険団体連合会(国保連)などにご相談ください。契約書にも苦情相談窓口などが記載されています。
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