- 開催日:2018年10月25日
- 講師:洛和小規模多機能サービス桂川 係長
介護支援専門員 岩田 和明(いわた かずあき)
はじめに
介護福祉サービスを提供する施設には、いろいろなタイプがあります。私が勤務しているのは、そのなかでも「小規模多機能型居宅介護」を行う、いわゆる「小規模多機能」と呼ばれる施設です。本日は、この施設について利用の範囲や機能、その役割などについて詳しくお話しします。
小規模多機能とは
市内にお住まいの人で、要支援・要介護の認定を受けた人が介護保険を使って利用できる施設です。1施設あたりの登録定員は29人以下で、規模の小さい施設です。小規模多機能には、3つのサービスがあります。「通い」と呼ばれるデイサービスと、施設からヘルパーが自宅に伺い在宅介護のお手伝いを行う「訪問」、そして短期間「宿泊(ショートステイ)」の3つの機能です。
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どんな人が利用していますか?
約8割から9割が認知症の方です。これからも在宅生活を続けようとされている方、およびそのご家族がサービスの対象になります。サービスを受ける回数に制限は設けられていませんが、「通い」サービスの定員は1日に15~18人以下、「宿泊」サービスの定員は6~9人以下と、利用定員が決められています。サービスを行う事業所によって定員数の変動があります。住所が送迎の範囲外でも、施設を利用できる場合がありますので、施設までお問い合わせください。
どんな時に施設は休みになりますか?
施設は365日、営業しています。ただし、積雪や台風、地震などで送迎車が出せないと判断した際は、送迎はお休みになります。ご家族が送迎していただける場合は、ご利用いただけます。
見学や体験利用はできますか?
いつでも可能です。ただし、施設管理者やケアマネジャーが不在の場合は、具体的な説明やお話しができません。事前にご連絡をしていただければ、幸いです。施設への申し込みは午前10時30分から11時30分くらいが適当でしょう。私が勤務している施設の場合は、体験利用にかかる費用は無料です。施設への送迎や昼食、おやつは体験できますが、入浴や宿泊体験はできません。事業所によって体験できる内容が異なりますので申し込みの際に確認してください。
月に利用費はどのくらいかかりますか?
介護の認定程度によっても違いますが、おおむね月に1万5千円から19万円です。利用者が要介護2の場合、通いサービスが週に5回で月に約3万5千円程度です。さらに月10回の宿泊サービスを利用した場合は月額7万5千円くらいになります。また、通いサービスを毎日、宿泊サービスを毎日受けた際は月額約16万円程度になります。支払いは毎月27日に口座から引き落としになります。10月の利用料は、翌月の11月27日支払いです。
ほかにかかる費用は
施設で訪問理容を使った場合は、自己負担をお願いしています。また、施設の行事などで提供する昼食代も利用者に負担いただく場合があります。
どんなときにサービスが終了しますか?
小規模多機能サービスから、ほかのグループホーム、老健施設などにサービスを変更される場合は、サービスが終了します。また、30日以上の長期入院になる場合も、小規模多機能サービスは終了します。このほか、60日以上、継続した施設のご利用がなかった場合もサービスは終わります。
どんな行事をしていますか?
季節に合わせた行事を毎月実施しています。行事は大きく分けて、事業所で行う行事と外に出掛ける行事があります。一年で最も力を入れている行事は、毎年8月に行う「納涼祭」です。ご家族や地域の人々にも参加していただき、1日を楽しみます。10月には、「敬老会」があります。サービスを受けている人のほか、施設職員も歌や踊りを披露し、お年寄りの長寿を祝います。10月には、みんなで施設外に出かけるレクリエーションがあります。先日は植物園に行って、お弁当を囲んだほか、カフェにも立ち寄りました。
他に使えるサービスはありますか
支給限度額内であれば、次のようなサービスが利用できます。まず、居宅医療管理指導サービスといって、医師の往診や訪問薬局、訪問歯科、訪問リハビリが利用できます。車いすや福祉ベッドなどの福祉用具のレンタルは、簡単な手続きで引き続き使用できます。
小規模多機能のメリットは?
最大のメリットは、サービスを受ける際の手続きが簡単なことです。ケアプランの作成からサービスの提供まで同じ事業者が行うため、利用者と施設サービス担当者、スタッフ、さらに利用者同士が顔見知りになり、アットホームな雰囲気が生まれます。そこで継続的なケアサービスを受けられることは、環境などの変化に敏感になりがちな高齢者にとって、大きな安心感につながるはずです。「小規模多機能」以外の在宅介護では、「通い」や「ショートステイ(泊まり)」「訪問介護」など、サービスごとに契約書作成などの手続きが必要になります。これらの手続きは面倒で、負担に感じることが少なくありません。「小規模多機能」では、これらのサービス計画の変更を1回の手続きで済ませることができます。しかも、直前になってサービスの中止を連絡してもキャンセル料は発生せず、前日や当日朝までの計画変更も可能です。
早期に顔なじみの関係が可能に
「小規模多機能」では、同じスタッフが「通い」、「訪問」、「宿泊」の3つのサービスを担当しますので、早期にスタッフと顔なじみになれます。その結果、一人一人に寄り添ったサービスを受けることができます。ただ、「デイサービス」のように機能回復訓練(リハビリテーション)はありません。利用者ごとの個別指導はできませんので、この点はご承知おきください。
「通い」サービスはどのような内容ですか?
「小規模多機能」での日常生活は、どのようなものでしょうか。表は、ある日の「通い」利用者の1日を示しています。午前10時には送迎で施設に到着し、まずは体温測定や血圧測定などで、体調をチェックします。午前中は軽い体操や脳トレなどを行い、昼食を取ります。午後は自由時間のほか、各部屋やフロア、近所の公園でレクリエーションを楽しみます。おやつの時間もあり、午後3時30分から5時までが夕方の送迎時間になります。
「宿泊」サービスの1日は?
「宿泊」サービスは、どうでしょう。「宿泊」の場合、午後6時からの夕食でサービスは始まります。消灯は午後9時で、それまではテレビを見るほか、排泄や更衣・就寝介助を受けます。午前0時と3時、6時に安否確認を行い、午前7時に朝食となります。「通い」サービスと連続したサービスも可能です。「通い」サービスで夕食を取ったあと、そのまま夕方から「宿泊」サービスに移ることも可能です。
おわりに
「小規模多機能」というサービスは、利用者のご希望に沿った柔軟な対応が可能だという半面、各施設ができることの幅は事業所によって異なります。ですので、施設のホームページやパンフレットを見ただけで判断するのではなく、疑問に感じたことは気軽に各施設に尋ねておくことが大切です。
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