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介護保険を知ろう

~ケアマネジャーのお仕事あれこれ~

投稿日:2018年11月8日 更新日:


はじめに

介護保険制度は、2000(平成12)年に始まり、発足から18年目を迎えました。介護保険制度は複雑で、3年ごとに改正されます。本日は、ケアマネジャーの役割と仕事を中心に、介護サービスの中身をお伝えします。介護保険サービスは居宅系サービス(在宅)と施設系サービスに分けられます。今回は、居宅系サービスについてご紹介します。

介護保険とは

介護保険は、加齢に伴って生じる心身の変化や疾病などから介護が必要な状態になっても、本人の尊厳を保持し、その能力に応じて自立した日常生活を送ることができるように、必要な保健医療サービスと福祉サービスが受けられる制度です。言い換えれば、介護を必要とする方々を社会全体で支える制度です。

市町村が保険者となり、40歳以上の人が被保険者となります。つまり、サービスを支える介護保険料は、40歳以上の医療保険加入者が支払っています。

介護保険の対象になる方は

介護保険の対象となるのはどういう方でしょうか。

まず、第1号被保険者と呼ばれる65歳以上の人のうち、介護や生活支援が必要だと認定された方です。

次に、高齢者以外でも、40歳以上65歳未満の方で、特定疾病と診断された人も対象となります。(がん末期や関節リウマチ、認知症、パーキンソン病、脳梗塞など)介護や支援が必要だと認定された場合は介護保険の支援対象となります。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

ケアマネジャーとは

介護を必要とされる方からの相談に応じ、本人の心身の状況によって、適切な介護サービスが利用できるように連絡調整するのがケアマネジャーの役割です。言い換えれば、援助が必要な必要な方が、どのような暮らしになれば良いのか、そのためには何が必要かを一緒に考えるのが仕事です。

ケアマネジャーの正式名称は「介護支援専門員」と言い、ケアマネジャーは介護保険法に基づく資格です。保健、医療、介護などで一定期間従事した者がケアマネジャーの試験を受けることができます。その後、決められた研修を受け、はじめてケアマネジャーになることができます。ケアマネジャーは国家資格ではありません。一度資格を取ったから、それで良いというものではなく、5年ごとに資格更新の研修を受講しスキルアップをしていかなければ資格は失効してしまいます。

まずは、相談から

京都市が発行している高齢者サービスガイドブックで、「すこやか進行中」という冊子があります。毎年発行されており、介護保険制度や介護サービスの内容、介護保険適用外となる高齢者サービスのほか、特別養護老人ホームをはじめとする施設一覧が載っています。各区役所の介護保険担当部署に置いてあります。私たちケアマネジャーもいつもこの冊子を見て情報収集しています。

高齢サポート(地域包括支援センター)は中学校区ごとに1カ所あり、京都市内には61カ所あります。地域の高齢者の担当事業所と思っていただけるといいものです。

居宅介護支援事業所とは、私の所属している当事業所もここに入り、大まかな担当エリアは事業所ごとにあると思いますが、高齢サポートに比べると範囲は広いです。「最近、もの忘れがひどくなったけど娘に迷惑を掛けたくないし」とか「腰が痛いしトイレも近いから心配で」など、困りごとや生活上の不安などがありましたら、まずはご相談ください。

要介護、要支援の認定は

介護や支援が必要になった場合は、要介護または要支援の認定が必要です。介護認定を受けられていない場合は、申請をお勧めします。もちろん、ご本人、ご家族でお住まいの区役所の介護保険の窓口で申請できますが、高齢サポートや居宅介護支援事業所でも申請代行が行えます。

申請には、65歳になった段階で京都市から届く介護保険被保険者証と要介護認定などの申請書が必要です。

要介護認定は、訪問調査とかかりつけ医(主治医)の意見書で決まります。その認定を決定する会議の場を介護保険認定審査会といいます。

要支援・要介護状態の区分

介護認定結果の区分は8段階あります。

「非該当」とは日常生活の基本的動作を自分で行える方で、いわゆる「自立」と言われます。

区分は要支援1、要支援2、さらに要介護1~要介護5まであります。要支援より要介護、また下から上に上がるにつれて、介護のお世話がたくさん必要になる、介護が大変な方ということになります。

要介護1~5の認定であればケアマネジャーを自分で決めることができます。要介護は私も所属しています居宅介護支援事業所が担当となります。

要支援の場合はお住まいの学区内にある高齢サポートが担当になります。要支援は各地域の高齢サポートが担当になります。

初回の自宅訪問では

ケアマネジャーが決定すれば、自宅訪問をして相談の内容を伺い、何が支障をきたしているのか、どうしていったら良いのかなど課題の分析を行います。この際、「どうして介護が必要な状態になられたのですか」や「今までどのような生活をされてきましたか」さらに「これからは、どのような暮らしをしていきたいのですか」などお伺いします。お体のことやご家族のこと、暮らし全般についてお聞きした上で、これからの生活に何が必要かを探ります。

ケアプランの作成

ご利用者さんのお話を参考にして、ご自身でなさっていることに加えて、どのようなサービスをどのくらい利用すれば、目指す暮らしになるのかを考えるケアプランの作成に移ります。自立支援に向けた各種サービスの提案をケアマネジャーは行いますが、費用的な問題もありますので、利用するのかしないのかなど最終的な判断はご本人、ご家族になります。あくまで、決めていただくのはご本人やご家族です。納得がいかないときは、遠慮せずにケアマネジャーに申し付けてください。

介護サービスの種類は

利用できるサービスは、訪問介護はヘルパーが自宅を訪問し、掃除や洗濯、買い物などのを行う家事援助や着替えや食事、排せつなどのお世話をする身体介護などがあります。

デイサービスはよく聞くと思いますが、通所介護と言われるもので、自宅まで車で迎えに来てもらい、入浴や食事、レクリエーションなどのサービスを日帰りで受けるものです。

通所リハビリはデイサービスに似ています。お迎えがあり、施設に通いますが、機能訓練の時間があるのが特徴です。

訪問看護は、自宅に訪問看護師が来て、体調や病状の観察のほか、薬の準備をしたりします。

「訪問」と付くのは、自宅にサービス事業所スタッフが訪問するサービス、「通所」と付くサービスは施設に通うサービスです。福祉用具貸与は介護用ベッドや車いす、歩行器などのレンタルを行うことです。

サービス担当者会議

ケアプランは生活の目指すべき方向性を示し、その方法として訪問介護や通所介護などを組み合わせて作成します。ケアプランでは、1週間ごとの生活を時間別に記した「週間サービス計画」を作り、毎日の生活が一目で分かるようにしています。

サービス事業者が決まれば、ケアプランについて、ご本人とご家族とサービス事業者で情報を共有し、自分ですること、家族がすること、サービス事業者が行うことを確認します。実際にサービスが始まれば、毎月、ケアマネジャーが自宅を訪問します。ケアプランは見直しも可能です。希望や疑問に思うことは、お気軽におっしゃってください。

住み慣れた地域でいつまでも

私たちの願いは、一人一人の暮らしが継続できることです。今後の高齢社会に向けた目指すべき介護制度は「地域包括ケアシステム」と呼ばれ、住み慣れた地域全体でサービスを支え合うものです。

自分自身でできることはする「自助」、地域でできることは助け合う「互助」、制度でできることは行う「共助」、税による公的支援を受けることができる「公助」を組み合わせる仕組みです。

いずれも、高齢者自身が社会の担い手として活躍することを期待しています。各自が生きがいや、社会参加、社会的役割を持つことが大切です。助けてもらう、支えてもらうだけでなく、逆に支える側としてボランティアなどに参加することは、結果的に介護予防にもつながります。

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