- 開催日:2018年8月2日
- 講師:洛和ヴィラ大山崎
理学療法士 増田 巧(ますだ たくみ)
講演 ~動画版~
講演 ~テキスト版~
あなたは、日常生活でよく転びますか?家の中の敷居など、わずかな段差に足をとられることはありませんか?転んで、手や足の骨を折ってしまうと大変です。本日は、高齢者を中心に転んでしまう前に気を付けていただきたい点や、転倒の危険性、その予防法についてお話したいと思います。最後に、簡単なバランスや筋力トレーニングの方法をお伝えしますので、ぜひ試してください。
あなたの転倒危険度は?
まず、あなた自身の転倒危険度をチェックしてみましょう。日常の生活を振り返ってみて、次の15の質問に答えてください。
※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。
「はい」が5つ以上の人は要注意
いかがでしたか?全て回答して「はい」が5つ以上あった人は、転倒する可能性が高いといえます。また、質問①~③に1つでも「はい」と答えた人も転倒する恐れがありますので、十分な注意が必要です。
65歳以上は転倒率が高い
1年間に、1回以上の転倒を経験している人の割合は、どのくらいかご存じでしょうか。65歳以上では実に3~4人に1人もおられるのです。いかに多いかお分かりでしょう。
転倒による負傷も心配
内閣府が60歳以上の人を対象に行った調査では、転倒した人のうち7割近くが、体のどこかに負傷していることが分かりました。転倒すると、3人に2人はけがをするのです。打撲や切り傷、すり傷なら軽いのですが、ねんざや脱臼、突き指、骨折など、かなりの人が相当の負傷をしていることが明らかになりました。
転倒による「4大骨折」
転倒したときに、骨折する場所は集中しています。転んだ際に、手で体全体をかばおうとして腕のつけ根や手首を骨折してしまう場合や、脊椎(背骨)を折ってしまう場合が多いのです。特に高齢者の場合、生活への影響大きいのが太もものつけ根を折る大腿骨骨折です。入院の期間も長くなり、歩行も困難になります。大腿骨を骨折する人の約8割が女性あることも重要です。これら4つの骨折を高齢者の転倒による「4大骨折」と呼んでいます。
もし、骨折すると
骨折すると、日々の生活にも大きな影響があります。骨折の場所が手や足の場合は影響が深刻です。手の骨折の場合は、洗髪や洗顔、着替え、食事、家事など日常生活がしづらくなります。足の場合はもっと深刻です。足の骨折では、多くの人が入院したり、手術が必要になります。入院や手術をした際には、寝たきりの原因にもなります。退院後も以前より歩きづらくなることが多く、これも心配です。
どこで転倒するか
では、いったい人はどこで骨折するのでしょうか。60歳以上の人が骨折する場所の割合は、屋内で78%、屋外では22%という調査結果があります。実は屋外で転ぶよりも、屋内で転ぶ人の方が圧倒的に多いのです。しかも、骨折事故は夜間より、日中に多いのです。つまり、転倒は日中の屋内が多く起こるのです。
「ぬかづけ」にご用心
転倒の予防には、あらかじめ転倒しそうな場所を知っておくことが大切です。屋内であれ、屋外であれ、転びやすい場所は「ぬかづけ」と語呂合わせで覚えましょう。「転ばぬ先のつえ」、転びやすい場所について以下に説明しましょう。
すべりやすい場所は注意
最初の「ぬ」は、「ぬれている場所」です。台所や風呂場など水回りでは、ぬれた床面で足を滑らせる事故が多いものです。雨の日はマンホールの上などにも注意が必要です。さらに、横断歩道にも危険がいっぱいです。横断歩道の白線の上を歩くときには、足が滑らないように細心の注意を心掛けましょう。また、道路上に積もった落ち葉も思わず足をとられることが多いので、気を付けてください。
段差は大敵
「か」は「階段」です。段差は転倒の大敵です。5ミリメートル以上の段差があるところは注意が必要だと言われています。室内では敷居やふすまのさん、カーペットの端などが要注意です。玄関や階段など、身の回りには高さの違いがたくさんあります。駅のプラットホームにも危険が多いものです。目の不自由な人のために設置された点字ブロックにつまずいた経験のある人も多いと思います。少しの段差でも常に転倒の危険性があることを忘れないでください。
室内は片付けを
「づけ」は「片付け」です。普段、暮らす部屋の中は大丈夫でしょうか。床にはいろんなものが置かれていないでしょうか。スリッパや読みかけの新聞、電気のコンセント、ごみ箱などが散乱していると、転倒するきっかけになります。スーパーの買い物袋なども足を滑らせる原因になります。特に、一人暮らしをしている場合は、室内の整理整頓が重要です。今一度、部屋の中の片付けを徹底してください。
以上をまとめると
転倒しやすい場所は「ぬかづけ」、ご理解いただけましたか。歩くときに、障害になるものがあれば、取り除くのが基本です。足元が暗い場合は、照明を付けることも大切です。室内に転倒の原因になりそうな段差がある場合は、目印になるようにテープを貼っておくことも有効です。そして可能であれば、階段や段差のあるところには手すりを取り付けましょう。
バランス運動と筋力トレーニング
バランスを保ち、筋力で体を支えることが転倒を防ぎます。そこで、最後に簡単なバランス運動と筋力トレーニングを紹介します。
まず、立った姿勢で行うバランス運動です。優しい順にやってみましょう。
【レベル1】
足を閉じて立ちます。
【レベル2】
レベル1のまま、ゆっくりと両手でバンザイをします。
【レベル3】
足と足を前後に連ねて立ちます。
【レベル4】
レベル3の状態で、ゆっくりとバンザイします。
【レベル5】
もう一度レベル1に状態に戻し、片足を5センチ以上浮かせてみましょう。
これを行う際には、そばに壁など体を支えるところがある場所で行ってく
ださい。
次に、ペットポドル回しを紹介します。
肩周りの筋肉や腹筋、背筋を鍛えるための運動です。まず、半分ほど水分の入ったペットボトルを用意します。立ったまま、両手を使ってペットボトルをお腹周りに沿って回します。右回り、左回りを各10回ずつ行いましょう。
最後に、ペットボトルの「8の字まわし」です。
両手を使い、ペットボトルを右ひざの下から外に通し、次に左ひざの下を外から通します。これを10回行います。
最後は、ペットボトルの上投げです。両手でペットボトルを上に投げて、両手でキャッチします。慣れてくれば、上にペットボトルを投げた間に両手をたたくことで、敏捷性や反射能力を向上できます。ぜひ、お試しください。
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