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医療 洛和会音羽リハビリテーション病院

回復期から生活期のリハビリテーションについて

~支える家族が知っておきたいこと~

投稿日:2019年1月10日 更新日:


はじめに

病気の発症から受診、入院(手術)、手術後のケアまでを急性期、これに続く期間を回復期と呼びます。
急性期には、早期の退院や離床を目指しリハビリテーション(機能回復訓練)が行われます。その後、より良い生活の質(QOL)確保や寝たきり予防、在宅復帰のために行うのが、回復期リハビリテーションから生活期リハビリテーションです。生活期リハビリテーションとは、自宅かあるいは療養病床や介護老人保健施設で行うリハビリテーションのことです。
急性期・回復期リハビリテーションには医療保険、生活期リハビリテーションには主として介護保険が適用されます。本日は、支える家族にも知ってもらいたいリハビリテーションの狙いや内容についてご紹介します。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

リハビリテーション医療の過程

「医療」と「介護」の基本的な考え方

医療保険と介護保険のリハビリテーション(以下「リハビリ」)の違いはどこにあるのでしょうか。
医療保険のリハビリでは、医療の第一段階である急性期の状態に対応し、主として身体機能の早期改善を目指します。
これに対し、介護保険によるリハビリでは、体力的・健康的の維持期に対応して、主に身体機能の維持や生活機能の維持・向上を目指したリハビリを行います。両者の違いを基本的に抑えていただきたいと思います。

回復期リハビリテーション病棟とは

脳血管疾患または大腿骨や頸部骨折などの患者さんに対して、日常生活動作(ADL)獲得や向上による、寝たきりの防止と在宅復帰を目的としたリハビリを専門に行う病棟を回復期リハビリ病棟と呼びます。医師や看護師、理学療法士、作業療法士などが共同でリハビリプログラムを作成し、これに基づくリハビリを集中的に行います。すでに、開設当初の目標であった人口10万人あたり50床の目標を達成し、量的には充実しています。今後は、質の確保が課題となっています。

各職種のチームワークが決め手

医師と患者さん、ご家族を中心に、看護師や理学療法士、臨床心理士、言語聴覚士、作業療法士、管理栄養士、ケースワーカーがチームを組んで患者さんの様子を見守り、患者さんのプラスになるリハビリのあり方を追求します。リハビリは段階を踏み、徐々にステップを上げていく必要があります。このため、定期的にカンファレンス(会議)を行い、患者さんに合ったリハビリの進め方や方向性、使用する器具選びについて議論します。
ただ、回復期病棟には、対象となる病名により実施期間の制限があります。加えて、発症から入院までの期間と入院期間にも上限があります。
たとえば、最も長い期間が設定されている、高次脳機能障害を伴った重症の脳血管障害の場合、発症から入院までは2カ月以内、入院期間は3カ月以内です。
最も短いもので大腿骨や骨盤骨折の場合、発症から入院まで1カ月、入院期間は60日と決められています。

回復期病棟の対象病名と入院期間

回復期病棟の設置基準とは

回復期病棟には、決められた設置基準があります。患者さん1人あたりの病室が6.4平方メートル以上あること、患者さんの利用に適した浴室やトイレがあること、廊下の幅が1.8メートル以上あること、そして基準以上のリハビリを行っていることなどです。また、施設が届け出をしていることも必要です。
こうした設置基準のほかに、良い回復期病院にはどんな条件が必要でしょうか。見分け方は、専門医師の配置や病棟看護師、療法士の数が十分かなど人的なものです。次いで、チームとしての結束や協力が十分か、在宅医療へのアプローチはどうかなどもチェックする必要があるでしょう。
その施設が情報公開に積極的かどうかも決め手になります。もし、その施設が自らの医療サービスに自信があれば、外部にどんどん情報を提供しているはずです。各施設のホームページなどでこの点を確認するといいでしょう。

良い回復期病院の見分け方

当院の概要とリハビリの実績

私が勤務する洛和会音羽リハビリテーション病院についてお話しします。内科のほか、脳神経内科、心臓内科、外科、整形外科、脳神経外科、呼吸器内科、リハビリテーション科があり、医療療養病床は29床、障害者病床は37床、回復期病床は100床あります。
患者さんの居住地別では、山科区が63%、滋賀県大津市が12%を占めています。患者さん1人1日あたりのリハビリの数は1単位20分として8.4単位(平均2時間48分)にも及びます。当院を退院してご自宅へ戻る人は84.9%で、高い在宅復帰率を示しています。

回復期リハビリテーション病棟 実績 医療法人社団洛和会 洛和会音羽リハビリテーション病院

当院の位置づけは

当院への入院から退院後の流れを紹介します。入院には急性期病院からの紹介、開業医や介護施設などからの紹介が必要です。また、洛和会音羽病院 一般病棟からの紹介もあります。
退院後は元の職場に復帰するか、そのまま自宅で療養を続けるか、もしくは介護老人保健施設や老人ホーム、介護療養型医療施設に移る方もいます。自宅療養の場合、デイサービスに通いながら訪問リハビリを受けるか、外来リハビリで訓練を続けます。
当院では、転院された日からリハビリ担当者と看護師、ケースワーカーが一緒に基本動作を確認し、どんなリハビリが行えるのかを考えます。また、どんな身体機能を伸ばすのかをご家族を交えてお話しする機会を設けます。理学療法士や作業療法士が1日に3時間のリハビリ介入を続け、また病棟でもリハビリを実施し、「生活そのものがリハビリ」という訓練を目指します。

洛和会音羽リハビリテーション病院の位置づけ

回復期リハビリ病棟から退院、在宅復帰の流れ

回復期リハビリ病棟への入院から退院、在宅療養に移るまでの準備と流れを確認しましょう。入院の際には、入院時訪問指導というのを行います。家庭状況の確認のほか、趣味や家庭内での患者さんの役割を知るためです。入院後には医師や看護師、リハビリ担当者、ご家族を交えてカンファレンスを開きます。確保したいQOL(生活の質)などをあらかじめ聞いて、リハビリの内容やゴールを決めていきます。退院前には自宅で行えるホームエクササイズを指導するほか、家族の方にも家屋改修の意向や福祉用具の有無を確認して退院に備えます。家族面談では医療スタッフと積極的なコミュニケーションを取り、退院後の生活のイメージをつかんでおくことをお勧めします。

回復期リハ病棟で行う在宅準備の流れ

居宅サービスでのリハビリの基本

患者さんは急性期病棟から回復期病棟を経て、いよいよ自宅での生活が始まります。自宅でのリハビリは在宅生活を継続し、身体機能を維持することが第一の目的です。医療機関・介護老人保健施設に通うのが困難な人には、リハビリ担当者が自宅を訪れてリハビリ指導を行う訪問リハビリのサービスを受けることになります。
リハビリの一つの狙いは介護予防です。介護状態を予防し、または要介護状態を軽減し、悪化を防止します。特に生活機能が低下した高齢者に対しては、運動機能や栄養状態などの身体機能の改善だけを目指すのではなく、リハビリの理念を踏まえて、「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかけ、一人一人の生きがいや自己実現を支援して生活の質向上を目指すのが基本です。

介護保険におけるリハビリテーションの提供イメージ

通所リハビリと通所介護の違いは

通所リハビリ(デイケア)と通所介護(デイサービス)は、同じ通所型介護サービスに属します。デイケアは医師の指示のもと理学療法士などがリハビリを行う一方、デイサービスではリハビリを行いません。デイサービスは自宅に引きこもりがちの利用者さんの孤立感を解消し、心身機能の維持やご家族の介護負担を軽減することが目的で、食事や入浴などの日常生活の支援や生活機能向上のための機能訓練などを日帰りで提供するものです。

訪問リハビリと通所リハビリについて

訪問リハビリとは、ご利用者の自宅に理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が出向いてリハビリを行う支援です。理学療法士などはご利用者の健康状態を把握したうえで、生活機能や背景を評価し、リハビリの計画を立てます。この際、「何をどこまで手助けするのか」の判断が必要です。この点については、専門職である私たちにご相談ください。
訪問リハは個人対個人で行われるのに対し、通所リハは個人対複数で行われます。また、訪問リハでは他人との交流は少なく、個人の生活を考慮しやすいものです。一方、通所リハは集団力を利用し、他人との交流が多いのが特徴です。
この段階のリハビリでは、「されるリハビリ」から「自ら実施するリハビリ」に、自分から目的を意識したものでなければ、効果が望めません。自宅以外にも居場所を見つけることも大切です。さらに、支えるご家族が心の余裕を持つことも重要です。こうした点についてもお気軽にご相談ください。

訪問リハと通所リハ 比較

洛和会音羽リハビリテーション病院

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