はじめに
日本では高齢化が急速に進んでいます。すでに65歳以上の高齢者が全人口の4人に1人以上になっていますが、「2025問題」といわれる2025年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり、65歳以上の高齢者人口の割合が30%を超える見込みです。
京都市の「市民長寿すこやかプラン」では「高齢者一人一人が、自らの意志に基づき、住み慣れた地域で、いきいきと健やかに暮らせる」という「健康長寿のまち京都」を目指しています。
そのプランのように、元気に長生きできることが大切です。しかし実際は、体が動きづらくなり不安を抱えて暮らしている高齢者が増えています。
こういう人を社会全体で支えるために介護保険制度がスタートし、今年で20年目になります。私たちヘルパー(介護福祉士)は介護保険に沿って、介護の必要な人が自宅で暮らし続けることができるように支援するのが仕事です。今日はヘルパーの仕事を知っていただき、介護保険の活用に役立ててください。
介護保険を利用できるのは
介護保険を利用できるのは被保険者の方々です。「第1号被保険者」と呼ばれる65歳以上の方は、寝たきりや認知症などで入浴や排せつ、食事など日常生活の動作に介助が必要な場合や、家事などに支援の必要な場合に介護や支援が受けられます。
一方、40歳以上65歳未満の「第2号被保険者」は、認知症や脳血管疾患など老化に伴う病気(特定疾患)が原因で介護、支援が必要になった場合に対象となります。
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介護サービスを受けるにはどうしたら?
まず市区町村の窓口で相談し、申請してください。申請の後、訪問調査があります。そこで介護認定を受けて「要介護」や「要支援」の判定が出ると、ケアマネジャーと相談し介護サービスや支援を利用できます。要支援は2段階、要介護は5段階に分かれており、その段階に応じて受けられるサービスが違ってきます。
介護サービスは、それを利用しながら自分でできることを増やし、住み慣れた地域でいつまでも生き生きと、在宅生活を続けてもらうことを目標にしています。
要支援の介護予防サービスは
まず要支援の方への介護予防サービスについて説明します。このサービスはヘルパーが支援することで、ご本人の意欲を引き出し、自分できることを増やしながら自立した生活を送れるようにするのが狙いです。
具体的には買い物に行っても荷物が重くて持ち帰れない人についてはヘルパーが買い物を代行し、膝が悪くて床の拭き掃除ができない人にはヘルパーが代わりに掃除を行うなどです。
その一方で、利用者さんには掃除道具の準備や片付け、できる範囲の掃除などをしていただき、その方の能力を最大限に活用できるようにします。
買い物の代行にしても、利用者さんが歩いて行ける範囲のスーパーにはご自分で行っていただき、買い物の準備もしてもらいます。お風呂に入りたいが1人では不安な人には入浴の支援や見守りを行いますが、ヘルパーが来るまでに利用者さん自身にお湯張りや着替えの準備をしていただきます。
食事の調理も利用者さんの能力を活用して
調理の際、ご利用者自身の能力を最大限活用できるよう、次のようなことを行ってもらいます。
- 献立を考え、材料を準備
- 簡単な下ごしらえ(皮むきなど)
- 味付け
- 盛り付け
- 後片付け
一方、訪問したヘルパーが行うのは次のようなサービスです。
- 準備された食材、献立で調理を行う
- 盛り付けの準備
- 後片付け
です。
細かくは、ケアマネジャーの方と介護プランを決めるときに相談していただくことになります。ヘルパーはそれに従ってサービスに当たりますが、基本は利用者さんの能力を最大限引き出すことが重要です。
要介護の方への介護サービス
次は要介護認定を受けた方へのサービスです。
要介護の方は、可能な限り自宅で暮らし、自立した日常生活を送ってもらうのために、入浴、排せつ、食事などの生活全般の援助を行います。
身体介護はどんなことを
介護サービスには、大きく分けて身体介護と生活援助があります。身体介護とは「身体に直接接触して行う介助と、これを行うための準備、後片付け」「日常生活を営むのに必要な機能向上のための介助と専門的な援助」です。
具体的には次のようなものが対象になります。
- 排せつ
- 着替え
- 移乗・移動
- 食事介助
- 入浴・清拭
- 足浴・手浴
- デイサービスなどの送り出し、迎え入れ(着替え、持ち物確認、玄関までの移動)
幅広い範囲の介護サービスを行います。
生活援助とはどんなことを
生活援助は、それができないと日常生活に支障が生じる要介護者に対して行います。
次のような幅広い範囲のことを行いますが、介護保険の目的通り、できることは自分で行ってもらうのが基本です。基本的に利用者さんの身体には触れません。
- 居室・台所・トイレ・浴室などの掃除
- 洗濯
- 生活必需品の買い物
- 薬の受け取り
- 衣服の整理・補修
- 調理など食事の準備
生活援助を利用できるのは
介護サービスで生活援助を利用できるのは、次のような方たちです。
- 1人暮らしの方
- 家族が障害や病気の場合
- 家族がやむ得ない事情で家事を行うのが困難な場合
介護保険の対象にならないサービスもあります
次のようなサービスは対象になりません。
- 本人以外の部屋の掃除や、利用者さん以外の家族のための家事
- ヘルパーがやらなくても日常生活に差し支えがないもの(庭の草むしりなど)
以下のようなものも、日常的に行う家事の範囲を超えていて対象になりません。
- 家具・電気器具などの移動、修繕、模様替え
- 大掃除など普段やらない家事
- 正月、節句などの特別な手間をかけて行う調理
介護サービスを活用して在宅生活を続けるために
介護サービスを活用することにより、自立した生活を送り、安心して在宅生活が続けられ、家族の負担を減らすことができます。
介護保険を使ってできないことは、インフォーマル・サービスとして自費サービスを活用できます。洛和会ヘルスケアシステムは生活支援・家事代行サービスも行っています。必要があれば、ぜひご利用ください。
訪問介護サービスの利用料金
介護保険を利用するときは負担金が必要です。収入によって1~3割の負担が必要になります。
要支援1、要支援2の方が利用可能なサービスの料金(1割負担の場合)は
- 介護予防訪問介護(Ⅰ)週1回程度の利用:介護型1,250円、生活支援型 月1,048円
- 介護予防訪問介護(Ⅱ)週2回程度の利用:介護型2,499円、生活支援型2,095円
- 要支援2の方のみ利用できる介護予防訪問介護(Ⅲ):介護型3,964円、生活支援型3,323円
要介護の方の訪問介護
1割負担の場合で、それぞれ1回の利用が30分未満=293円、30分以上1時間未満=464円、1時間以上1時間30分未満=678円で、それ以降は30分ごとに98円加算です。
要介護の生活援助は
要介護の生活援助は1割負担の場合、20分以上45分未満213円、45分以上263円です。
介護サービスが必要だと思われる方はまず、市町村の窓口に相談いただきます。その後、ケアマネジャーを通じて介護プランを決め、訪問介護の利用を申し込んでください。
質疑応答から
Q ヘルパーは大変なお仕事ですね。
A 1人のヘルパーが1日に6、7カ所くらい回ります。利用者さんから「疲れているだろう」と気遣っていただくことがありますが、仕事ですから必要なことはしっかりします。お気遣いなさらずに、ご相談いただければと思います。
Q ヘルパーの方にお茶とかお菓子を出してもいいのですか。
A 私たちは介護保険の制度に沿って行っていますので、お気遣いは不要です。自分で補給する水分を持って回っていますので、お気遣いはいりません。
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