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介護

訪問看護師がリハビリスタッフと連携

~よりよい生活の向上を目指して~

投稿日:2020年1月23日 更新日:

はじめに

訪問看護を利用される方が増えています。今日は訪問看護はどういうことをしているのか、また利用者の皆さんにより良い生活を過ごしていただけるように、理学療法士などと連携してどういうことをしているのかを紹介いたします。参考にしていただけたらと思います。

訪問看護とは

訪問看護では、看護の必要な在宅療養の方を看護師、保健師、理学療法士らが訪問し、主治医の指示に従って療養上の世話や必要な診察の補助を行います。看護師らには医師への報告が義務付けられています。

2000年に介護保険法が施行されてから制度が充実しました。介護保険、医療保険のどちらを用いても利用できます。介護保険を利用される方はケアマネジャーに相談し、サービス計画に訪問看護を組み入れてもらってください。厚生労働省が定める疾病の方は、医療保険が適用となり、かかりつけ医の「訪問看護指示書」に基づいて必要なサービスが提供されます。

訪問看護の内容

次のような幅広い事項に対応しています。

  • 病状、障害の観察、健康管理
  • カテーテルなどの医療機器の管理
  • 療養、看護や介護方法の指導
  • リハビリテーション
  • 褥瘡(じょくそう=床ずれ)や創傷の処置
  • 家族など介護者の支援
  • 保健、福祉サービスなどの活用支援
  • 食事、水分、栄養管理、排せつ、清潔の支援
  • 内服薬管理
  • ターミナルケア

などです。

いずれも、ケアマネジャーが作成した居宅サービス計画や、かかりつけ医の指示書に基づいて行います。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

病状、障害の観察、健康管理

それぞれの訪問看護の内容を詳しくお話します。

病状、障害の観察、健康管理は、私たちが訪問看護に行って最初に行うことです。次のようなことを行います。

  • 体温、脈拍、血圧、酸素飽和度の測定(訪問看護師は全員、これらの測定器具を持っています。場合によれば体重測定も行います。体重測定の器具はご自宅で準備してもらいます)
  • 聴診器で呼吸の音や腸の動きを確認
  • 浮腫(むくみ)の有無や皮膚の状態を観察
  • 睡眠状況や食欲、生活状況の確認

全身状態を観察して症状の有無や程度を確認し、状態に応じて医師に相談しています。

カテーテルなどの医療機器の管理

在宅看護を受けられる方には、カテーテルという管を入れたまま退院される人が少なくありません。病院を退院されて訪問看護を受ける方が多いのですが、その場合は入院されていた病院の看護師から指導を引き継ぎます。

このようなカテーテルなどの医療器具の管理も訪問看護師の大きな仕事です。管理する器具や機器には、次のようなものがあります。

  • 鼻や胃ろうなど栄養に関するカテーテル
  • ぼうこう留置カテーテル
  • 在宅酸素
  • 人工呼吸器
  • 人工肛門や人工ぼうこう
  • 在宅中心静脈栄養
  • 自己導尿
  • 気管カニューレ(気管切開チューブ)

療養、看護・看護方法の指導

訪問看護師は、利用者の皆さんが病気と上手に付き合いながら「こんな生活がしたい」「できるようになりたい」という目標を実現できるように看護します。また介護者の負担が少なくなるような介護の方法もお伝えします。もちろん、ご本人ができることは、長い間、継続してできるように働き掛けます。その中で、杖、車いす、介護用ベッドなど福祉用品の使用も必要に応じて助言します。より良い看護によって、介護するご家族の負担も軽減できます。

リハビリテーション

利用者さんの状態に合わせて、リハビリテーションを行います。

  • 足の力が弱ったと感じる方に対しては、筋力アップを目指した運動や歩行練習を行います。
  • 呼吸器の病気の方には、呼吸に関わる筋肉のストレッチを指導します。
  • 食べ物などの飲み込みが悪くなってきた方には、発声練習や口や舌の運動を指導します。

いずれも、介護されるご家族も一緒に行っていただくことがあります。

褥瘡(床ずれ)や創傷の処置

床ずれを作らないように、栄養の評価や日中の活動量を確認します。床ずれができた場合は状態に合わせた処置を行い、必要に応じてご家族に処置の指導を行います。
床ずれや傷が深くなると、主治医の指示で看護師の毎日の訪問も可能です。
悪化しないように、体圧分散のマットレスや自動体位変換のエアーマットをお勧めしています。
また、皮膚の保温や清潔ケアなどで皮膚トラブルを起こさないように支援もします。

家族など介護者の支援

介護されているご家族が健康でないと、自宅での生活が困難になります。訪問看護師は、ご家族の健康状態についても相談に乗ります。
また、介護者の負担を軽減するため、訪問介護や通所介護、ショートステイなどの介護サービスの利用についても支援します。ケアマネジャーとも相談し、多職種が連携して行います。

食事、水分、栄養管理、排せつ、清潔の支援

食事の量が少なくなってきたら、効果的にカロリーが取れるような食事内容について指導します。
飲み込みが悪くなったり、むせることが多くなったりすると誤嚥性肺炎を起こしやすくなりますので、食べ物にとろみを付けるなど食事内容を変更していただくようにお伝えします。
排便が困難な時は、下剤の調節や浣腸などで排便を促します。また、全身状態に合わせて清拭・足浴・手浴・洗髪・シャワー浴・入浴介助などを行います。

内服薬管理

薬の飲み忘れが多くなってきたら、お薬カレンダーを作ったり、1日分を袋で管理したりと、利用者に合わせた薬の管理方法を検討します。
また、薬の内容によっては主治医に相談し、1日に飲む回数を減らしてもらいます。例えば、朝なら確実に見守りができ服用が可能なら、薬を朝1回にまとめられないか主治医に相談します。

ターミナルケア

老衰や悪性腫瘍などの終末期になった際、ご家族や利用者さんが望まれる最期が迎えられるように、看取りの支援を行います。

亡くなられるまでの身体状態の変化についてご説明し、精神的な不安・悲嘆の表出や軽減に関わり、医師や関係機関と連携しながら24時間体制でお手伝いします。看取りのパンフレットもあり、それらを使って説明しています。

リハビリテーション

リハビリテーション(以下、リハビリ)とは、厚生労働省が「単なる機能回復訓練ではなく、潜在する能力を最大限に発揮させ、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を可能にし、その自立を促すものである」と説明しています。

訪問看護で理学療法士が訪問する際は、所属する訪問看護ステーションの看護師が初回訪問を行います。看護師の代わりに、専門知識を持つ理学療法士が訪問するという位置付けになっています。また、3カ月ごとに看護師がアセスメント訪問することが義務付けられています。

理学療法士と看護師の協働

理学療法士と看護師が協働することで、専門的な知識を共有することができ、相乗効果が発揮できます。理学療法士のみの訪問でも、看護師が関わることで、体調の変化を察知することができます。

協働の事例1

80歳代の女性、独居ですが近くに娘が住み生活の支援をされており、週3回、看護師の訪問を行っていました。家族から女性の理学療法士によるリハビリを希望されましたが、男性理学療法士の配属しかなく、看護師がリハビリを行うことに。理学療法士に同行してもらい、リハビリのメニューを作成してもらい実施しています。

協働の事例2

80歳代の男性。高齢の妻と二人暮らし。看護師によるリハビリを行っていましたが、活動量が低下し、入浴介助が追加になりました。看護師が入浴介助を行い、リハビリは理学療法士が担当。看護師が入浴介助を行う際は、浴槽の出入りや福祉用具の使用について、理学療法士の指導を仰いでいます。

協働の事例3

70歳代の独居男性。リハビリの依頼があり、理学療法士が訪問していましたが、3カ月に1回のアセスメント訪問の際、看護師の必要性を感じられ、月に1回の看護師の訪問を開始しました。1カ月に1回の訪問ですが、健康面の相談や体調確認を行うことで、安心して在宅生活を継続されています。

座ったままできるリハビリ

皆さんの日々の生活に役立つ、座ったままできるリハビリをお伝えします。私たちの訪問看護ステーションにいる理学療法士が考えた運動です。テレビを見ながらなど「ながら運動」で筋力アップにつなげてください。

まず「足上げ運動」です。つま先とかかとを上げ下げします。つま先を上げるときは足を少し前に出し、かかとを上げるときは足を少し後ろに下げます。

次は「膝伸ばし運動」です。いすに座り、膝を伸ばします。体が後ろに倒れないようにし、膝の辺りまで深く座ってください。膝はしっかり伸ばし切ってください。歩行状態を安定させる効果があります。

3つ目は「足踏み運動」です。いすに座ったまま足踏みします。片足ずつ交互に太ももを上げます。なるべく高く上げ、余裕があれば足首におもりなどを巻きつけます。体が倒れないように注意してください。

最後は「腕の上げ下げ運動」です。座ったまま姿勢を起こして、両手を持ち上げます。両手がつらい場合は、片手ずつ持ち上げます。肩などに痛みがある場合は、痛みが出ない範囲で行ってください。肩こりの改善や予防にもなります。

最後に

訪問看護ではご自宅での生活を望まれる方に、看護師が理学療法士やさまざまな職種の方と連携し、より良い生活を送っていただけるようサービスを提供します。ぜひご利用ください。

質疑応答から

Q 訪問看護を利用するときは、どうしたらいいのですか?
A まず、介護保険の利用を申請してください。その際には医師の診察が必要です。ケアマネジャーに相談し、介護プランを作成してもらってください。医師の指示書で訪問看護を行うことも可能です。分からない人は、それぞれの地域にある地域包括支援センターに相談してください。

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