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ロコモティブシンドロームと介護予防

投稿日:2016年3月3日 更新日:


はじめに

「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」は、和名では、「運動器症候群」といいます。筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、もしくは複数に障害が起き、歩行や日常生活に何らかの障害を来している状態のことをいいます。2007(平成19)年、日本整形外科学会が提唱しました。

運動器とは何か?

身体活動に関わる骨・筋肉・関節・神経などの総称です。運動器が衰えると、立つ・歩くなどの動作=移動能力に影響が出てしまい、日常生活が一人では十分にできなくなってしまいます。そして将来的に寝たきりなどになってしまうリスクが高くなります。

ロコチェックしよう

日本整形外科学会は、現段階でロコモ予備軍になっていないか、ロコモの危険性に気づく「ロコチェック」(2007年)を発表しました。
次のような症状が1つでもある人は、ロコモの心配があります。

  1. 2kg程度(1リットルの牛乳パック2個程度)の買い物をして持ち帰るのが困難である
  2. 家のやや重い仕事(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)が困難である
  3. 家の中でつまずいたり滑ったりする
  4. 片脚立ちで靴下がはけなくなった
  5. 階段を上るのに手すりが必要である
  6. 横断歩道を青信号で渡りきれない
  7. 15分くらい続けて歩くことができない

ロコモ度テストで自分の体を詳しく知ろう!

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

ロコモ度テストは、同年代の平均と比べて、現在の自分の移動機能を確認するためのテストです。「立ち上がりテスト」「ステップテスト」「ロコモ25」という3つのテストから成っています。
立ち上がりテストは、高さの違ういすから片足または両足で立ち上がる能力をみるもの、ステップテストは歩幅を測るもの、ロコモ25は心身の状態を問う25項目の質問に答えてロコモ度を調べるものです。

加齢とロコモ

  • 筋力の低下:
    筋力は25歳前後をピークに低下し、65歳ではピーク時の3分の2になるといわれています。特に速筋(すばやい筋収縮に適した筋)の低下が顕著で、素早い動きが困難になるとされています。上肢より下肢の筋力低下が日常生活に大きな影響を及ぼします。
  • 骨の強度低下:
    骨はカルシウムを蓄える貯蔵庫としても働き、体内で形成と吸収を繰り返し、新しい骨が作られます。骨吸収が形成を上回ると、骨における退化現象が起こり、骨粗しょう症が進行します。運動を行うことによって、骨に刺激が加わり、骨量減少の予防効果が期待できます。

健康寿命をご存じですか?


WHO(世界保健機関)が2000(平成12)年に提唱した指標で、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。ロコモは「運動器の障害により自立度が低下し介護が必要となる危険性が高い状態」ですので、ロコモ対策は健康寿命を延ばすために非常に重要であるといえます。平均寿命と健康寿命の差は、男性で約9歳、女性で約12歳(2013年統計)で、この差を少しでも縮めることが大切です。

Let’s ロコモ予防!

「日常の生活習慣」と「適切な対処の有無」によって、移動機能は大きく変わります。年齢に関わらず、思い当たる習慣や症状がある場合には、

  • 生活習慣を見直す
  • 運動習慣を身に付ける
  • 医療機関を受診する

などの適切な対処が必要です。

食生活でロコモ対策

  • 「筋肉」を強くする食生活:
    筋肉の量を増やして筋力を高めるための最も重要な栄養素はタンパク質です。タンパク質の分解や合成を促進するビタミンB6を一緒にとると効果的です。タンパク質を多く含む代表的な食材には肉や魚、卵、乳製品、大豆製品が、ビタミンB6を多く含む代表的な食材にはマグロの赤身やカツオ、赤ピーマン、バナナ、キウイがあります。
  • 「骨」を強くする食生活:
    骨粗しょう症予防にはカルシウムをとることが勧められています。タンパク質・ビタミンD・ビタミンKも併せてとるようにしましょう。カルシウムを多く含む代表的食材には、乳製品や小魚、緑黄色野菜、海藻類が、ビタミンDを多く含む代表的な食材には魚やキノコ類があり、日光に当たることでもとれます。ビタミンKを多く含む代表的な食材には、納豆や青菜があります。

ロコモ予防は長ーいお付き合い

運動や生活習慣の見直しは、長期間ゆっくり続けるほうが長続きします。短期集中で急激につけた筋肉は、運動をやめると急激に減ってしまいます。頑張りすぎずにゆっくり続けると、運動を中止しても効果が長続きします。無理をしない範囲で、運動や生活習慣の見直しをゆっくり長く続けていきましょう。

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