はじめに
今回は、多くの高齢者が利用されているデイサービスとはどういうものなのかを紹介します。私は洛和会ヘルスケアシステムの京都市内にあるデイセンターに勤務した後、山科区のデイセンターで十数年勤務しています。当会の山科区にあるデイセンターで働いている一番長いキャリアの職員だと思います。
山科区では、65歳以上が人口に占める比率である「高齢化率」が30.9%に達しています。京都市全体の高齢化率は27.8%で、山科区は2番目に高齢化率が高い行政区です。ちなみに高齢化率トップは33.5%の東山区です。
この山科区にデイサービスの施設はいくつあるかご存じですか。答えは53事業所です。調査年度により変動はありますが、全国にコンビニは5万7千軒あります。デイサービスの事業所も4万3千軒あり、コンビニに匹敵するほど多い数になります。
※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。
デイサービスの1日の流れは
まず、デイサービスとはどういうサービスなのか、1日の流れから説明します。図を見ていただければ分かるように、基本サービスは、
- 送迎
- 入浴
- 昼食・おやつ
- 日常生活上必要な介助
- 健康管理
- 機能訓練
- アクティビティ
- 相談・助言
です。
1日型のデイサービスの流れは、2つ目の表のようになります。午前中は入浴中心の日程になります。
近年のデイサービスの特色を型別に見ると、
- 機能訓練(リハビリ)特化型
- 認知症対応型
- レクリエーション型
- 入浴特化型
- レスパイト型
の5つが上げられます。
機能訓練特化型デイサービス
機能訓練特化型デイサービスは、運動療法の専門職(理学療法士、柔道整復師)が科学的根拠に基づき、利用者に応じてトレーニングメニューを作成し、機能訓練を行います。主なメニューは、マシントレーニング、自主トレーニング、天井からつり下げたロープを使うスリング体操、個別または小集団の体操、集団体操です。
では、皆さん、「コグニサイズ」というデイサービスで行う手軽な体操を体験してみましょう。「認知(コグニッション)」と「運動(エクササイズ)」を合わせた言葉で、有酸素運動であるウオーキングと脳トレーニングを合わせて行うものです。声に出して数えながら行います。時々、発する言葉を変えて対応すると脳トレにつながります。では、童謡の『あんたがたどこさ』を足踏みしながら歌い、「さ」のところで歌わずに手をたたいてください。
認知症対応型デイサービス
認知症対応型デイサービスは、1日の流れは一般的なデイサービスと同じで、認知症の方を対象としています。利用定員は12人以下で、介護職員1人あたりの利用者人数が少ないため、それぞれの方の症状に応じてきめ細かに対応できるのが特長です。
では、認知症対応型デイサービスで行う「間違い探し」で頭の体操を体験してみましょう。こういったさまざまな脳のトレーニングを楽しんでもらい、認知症予防に役立てています。
レスパイト型デイサービス
レスパイトとは「一時休止」「休息」という意味です。レスパイト型デイサービスは、デイサービスの利用中に、介護者の方が体調を整えたり、気分転換してリフレッシュしたりしてもらうサービスです。食事の援助も含まれています。
サービスの提供時間は柔軟で、午前中だけのサービスもあります。自宅用の弁当や訪問理美容、宿泊サービス、さらには家族会の開催など、介護する人を支援するさまざまなサービスも提供しています。
入浴特化型デイサービス
入浴特化型デイサービスは、「入浴」+「短時間」+「自立支援」が特徴のデイサービスです。近年、施設が立派になり、リゾートタイプ化も進んでいます。大浴場タイプ、ひのき風呂、個浴、静養室やフロアを持つ施設など、さまざまな入浴施設ができています。
レクリエーション型デイサービス
レクリエーション型デイサービスは、レクリエーションを行うことを通じ、身体機能の維持・向上や脳の活性化、コミュニケーション促進を図るタイプのデイサービスです。
レクリエーションの種類は、アミューズメントや集団レクリエーション、野外活動、カルチャー教室、創作活動などがあります。デイサービスは利用者すべてが身体的なリハビリを求めているわけではありません。利用者の多様な求めに応じたデイサービスです。
私が勤務する「洛和デイセンター音羽のさと」で利用者さんが作った作品を見てください。皆さん上手に作っておられるので驚きます。
デイサービスは法令でどう定められているのでしょうか
厚生労働省の省令やそれを受けた自治体の要綱でデイサービスの内容が決められています。まとめて言うと、介護保険で「要介護」または「要支援」状態になった方が「自立した在宅生活を維持し、日常生活上の世話(入浴や食事などの援助や介助)や機能訓練を受けるために、通所介護(デイサービス)を利用することができる」と決められています。介護認定に該当しない方も、各市町村ごとの制度があり、手続きをすれば「事業対象者」として利用できる制度があります。
利用しているのはどういう人?
「洛和デイセンター音羽のさと」の利用者の方をみますと、80歳代の方が53%で最も多いです。次いで70歳代の方が23%です。要介護度では「要介護1・2」の方が57%と最も多く、次いで「要介護3~5」の方が31%おられます。利用回数は、月1~10回の方が71%と最も多く、16~20回の方が20%おられます。
最後に
利用者の方の機能回復を助けたり、認知症の予防を図ったりするとともに、介護する方の負担軽減を図るのがデイサービスです。自分やご家族に合ったデイサービスを探した上で、ぜひご利用ください。
質疑応答から
Q デイサービスはどうしたら受けられるのですか?
A 地元学区内の地域包括支援センターに行き、生活状態や健康状態、認知症かどうかなどを調べるチェックリストを記入してください。機能の低下などが認められれば利用できます。介護認定を受けるよりも早く利用が可能になります。地域包括支援センターが分かりづらければ、区役所の窓口や近くの居宅介護支援事業所に相談してください。
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