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機能訓練ってなぁに? ~機能訓練の大切さについて~

投稿日:2017年9月7日 更新日:


はじめに

2000(平成12)年に介護保険制度が始まり、「機能訓練」の重要性が徐々に高まってきました。本日は、介護保険サービスにおいて機能訓練がなぜ重要視されているのか、またどのように行われているのかを、通所介護(デイサービス)での機能訓練を中心にお伝えします。

介護保険法では

介護保険法では、通所介護の項目に、機能訓練について、以下のように書かれています。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

しかし、これだけでは具体的に何をしたらよいのか、分かりません。

機能訓練と聞くと、次のようなイメージをもたれる方が多いのではないでしょうか。

  • 筋力トレーニング?
  • つえや歩行器で歩くこと?
  • 病院のリハビリテーションと同じ?
  • まだ必要ない!
  • 疲れる、自信がない。

「機能訓練」の成り立ちと目的

機能訓練の重要性が訴えられるようになった要因には「2025年」問題があります。この年には第一次ベビーブームと呼ばれる、1947(昭和22)年~1949年生まれの「団塊の世代」約800万人の全員が、75歳以上の後期高齢者となります。

日本の人口構成比でみても、65歳以上の高齢者1人に対して、20~64歳の働く世代は、2015年には約2.4人でしたが、2050年には約1.2人にまで減ってしまいます。

ということは、高齢者の医療や介護の需要がさらに増加し、一人暮らしや、高齢者のみの世帯がより一層増加することになり「介護予防」の重要性が高まっています。

「加齢」と「機能訓練」

高齢者が陥りやすいものに、次のような症状があります。

  • サルコペニア:筋肉減少症のことです。
  • フレイル:虚弱、老衰を指します。
  • ロコモティブシンドローム:運動器症候群です。
  • 老年症候群
  • 廃用症候群(生活不活発病)

これらになると、動かなくなりがちです。動かないと、以下のような恐れがあります。

このような危険性は分かっていても、「動きたくない」「動きたくても動けない」「痛い」「疲れる」「怖い」「面倒くさい」…と不安な声もよく聞かれます。

まずは、できることから始めましょう。「できる」という成功体験を重ねることで→自信や活気が増え→積極的な運動や活動につながります。できることを見つけ、支援していくことがデイサービスでの「機能訓練」です。

デイサービスでの「機能訓練」

私が働いている洛和デイセンター北野白梅町では、理学療法士1人と看護師1人が機能訓練指導員となって、高齢者の機能訓練にあたっています。訓練に入る前には、理学療法士と生活相談員が自宅での生活状況を把握し、利用者の方々にどのような機能訓練を行うべきか、個別に評価をします。実施の際は、理学療法士や看護師、介護職員が立ち会い、安全に配慮しています。生活動作では、自立支援の観点から、ご自身でできることはご自身で行うことにより、能力の維持、向上を図ります。

マシンエクササイズ
レッグプレスやプレステップなど、4種類の運動機器があります。理学療法士が身体機能や体力を評価し、マシンを選択して運動していただきます。全てのマシンは個々の体力に合わせて負荷や回数の調整が可能です。

平行棒内エクササイズ
平行棒の間に入って棒を手すりとして立ち、片足立ちや前後左右へのステップ、足の筋力強化やステップ台昇降運動などを行います。

歩行練習
理学療法士が歩行状態を評価し、歩き方のアドバイスや運動プログラムの立案を行い、歩行能力の維持や改善を図ります。歩行状態に合わせて平行棒やつえ、歩行器を使用し、安全に歩きます。また年2回、屋外歩行練習の企画があります。個々の体力に合わせて数メートル~300メートル程度歩きます。

自主練習
必要に応じて理学療法士が自宅でもできる運動プログラムを作成します。

グループエクササイズ
個別対応以外に、集団で全身的なストレッチや手足の筋力強化運動を行っています。日によっては、脳と足のトレーニング(転倒予防、認知症予防)も取り入れています。このほか、体操教室も毎日行っています。

機能訓練での目標

例を挙げると、以下のような目標に対して、機能訓練を行っています。身体機能だけではなく、日常生活の活動や社会参加に関して目標を持つことも大切です。

  • 体力・足の筋力をつける。
  • 関節が硬くならないように保つ。
  • まひのある手を使う。
  • 認知症を予防する。
  • 転ばないように歩く。
  • 一人暮らし・夫婦での生活を続ける。
  • 買い物に行く。
  • 友達と旅行に行く。

介護が必要になった主な原因

国の統計では、要介護となった原因の上位3つは、2013年には、1位 脳血管疾患、2位 認知症、3位 高齢による衰弱の順でした。
しかし、2016年に、1、2位が逆転しました。機能訓練において認知症予防への取りくみも重要になっています。

「機能訓練」の重要な視点

介護予防として「機能訓練」は、重要な要素の一つです。

「機能訓練」で、加齢による心身機能の低下に適切に対応することが大切です。
「機能訓練」は、身体機能の維持向上が最終的な目標ではなく、生活機能の維持向上につなげていくことが目的です。

おわりに

皆さま一人一人が、自分らしい生活を送るために、無理のない範囲で意識的に介護予防に取り組んでいただけるとうれしいです。

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