- 開催日:2017年9月20日
- 講師:洛和会東寺南病院 薬剤部 薬剤師 山口 和子(やまぐち かずこ)
はじめに
お薬と上手に付き合うことは、病気を治したり自分の健康を守るうえで、とても大切なことです。本日は、お薬の種類や保管法、飲み忘れや飲み残しへの対応など、お薬にまつわるさまざまな事柄について、ご説明します。
私が手にした薬はどれでしょう
薬は大別して、以下の3種類に分けられます。
- 内服薬:口から飲むお薬です。錠剤・カプセル剤・散剤・フィルム剤・水剤・内用液剤があります。
- 外用薬:皮膚や目・口・鼻などの粘膜に使用する薬です。
ローション・クリーム・軟膏や湿布剤・点眼・点鼻・点耳、座薬・膣錠・注入軟膏があります。 - 注射薬:皮膚や筋肉内あるいは血管内に直接入れる薬です。バイアル・アンプル・輸液・自己注射があります。
以下、それぞれの薬ごとに説明します。
内服薬
代表的な内服薬である錠剤には、以下のような種類があります。
これらの錠剤は、飲みやすいよう、さまざまな工夫がされています。
- 口腔内崩壊錠(OD錠):口腔内で速やかに溶解または分散する錠剤。少量で水に溶けるために、水分制限をしている方に最適です。
- チュアブル錠:口のなかでかみ砕いて飲む薬です。
- 舌下錠:舌の下に薬を入れて、飲み込んだりかみ砕いたりせず、唾液で自然に溶かし、急速に有効成分を口腔粘膜から吸収させる錠剤です。
- 発泡錠:水中で急速に発泡しながら溶ける錠剤です。
外用薬
塗り薬やエアゾール、貼付剤、坐薬、目薬など、皮膚や粘膜を利用する薬です。
家に持って帰った薬はどうしますか?
薬はいつも同じところにきちんと保管しておくことが大切です。殺虫剤や防虫剤と一緒に保管したり、湿度の高いところや湿気のあるところ、直射日光の当たるところに保管してはいけません。正しい保管をお願いします。
室内でも30度以上になる場合、保冷剤をタオルで巻いて直接薬に当たらないようにし、箱のなかに保管するとよいでしょう。
薬の飲み方
お薬の飲み方をQ&Aで説明します。
Q 薬の袋に「食間に飲んでください」とありました。食間って、いつですか? 食事と食事の間、それとも食事をしている最中?
A 食事と食事の間です。食後2~2時間半を想定しています。食間は漢方薬に多いです。食事をしている最中の場合は、食事中・食中と言います。食前、食後は、食事の前後30分を想定しています。食事のすぐ前や後は、食直前、食直後とされています。糖尿病の薬には、食直前のものが多いです。
Q 薬の正しい飲み方について、水、お茶、ぬるま湯、お酒のうち、どの飲み物で服用するのが正しいでしょうか。
A 水またはぬるま湯です。冷たい水はおなかを冷やすので避けた方がいいです。お酒で薬を服用するのは、絶対にダメです。薬が効きすぎたりして体が大変な状態になってしまうこともあり、ひどいときは命に関わります。そのほか、薬との併用に注意が必要な飲み物は以下の通りです。
Q 薬を飲んだ後の殻が見つかりません。どうしましょう?
A 錠剤やカプセルは、PTPシートという包装シートに入っています。シートごと飲んでしまうと、喉や食道を傷つけ、大変なことになります。包装を朝昼夕の分に分けて小さく切っていたケースで、実際に、患者さまが飲んでしまい、ノドに刺さった事例がありました。
Q お薬が飲みにくい方に向けた、正しい薬の飲み方は?
A 以下のようなことに気を付けてみましょう。
- 服用前に口のなかを湿らせる。
- できれば座って、上半身をまっすぐに起こす。
- 座り姿勢ができない場合は、上半身を30度以上起こす。
- コップ1杯の水または白湯で飲む。
- 飲み込むときは、うなずくようにあごを引く。
- 舌、頬や唇にまひのある方は、頭と体をまひのない側に傾けて、スプーンを用いて飲む。
- 飲み込みにくいときは、ゼリーやプリン、粥などを利用する。
薬を飲んだ後も、30分ぐらいはこの姿勢を維持してください。すぐ横になると、胃から逆流する恐れがあります。
お薬を飲み忘れたとき
一般的な対応としては、気付いたときに服用します。次の服用まで4~5時間、空いていることを目安にしてください。1日1回服用の薬なら、8時間以上空いているのが目安です。しかし、次回の服用時点までに時間間隔がないときは1回分を抜きます。
2回分を一度に服用しないでください。
糖尿病の薬、血圧の薬、骨の薬など、お薬の種類によって対応が異なることがありますので、かかりつけの薬局薬剤師に確認してください。
飲み残し、使い残しの薬はいつまで大丈夫ですか?
薬の種類によっても違います。以下を参考にしてください。
私の薬の記録
お薬手帳を活用しましょう。何冊も分けて持つのではなく、1冊にしておくことが大切です。
いざというときのために
以下のような救急薬を用意しておかれるとよいでしょう。
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