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医療 洛和会東寺南病院

健康寿命 ~今のあなたにできること~

投稿日:2017年10月25日 更新日:

  • 開催日:2017年10月25日
  • 講師:洛和会東寺南病院 リハビリテーション部 主席係長 作業療法士 山田 みずほ

はじめに

本日は、平均寿命と健康寿命の違いに着目しながら、健康寿命を延ばすためには、どんな生活が望ましいのかをお話しします。

平均寿命とは

平均寿命は、今年生まれた0歳の人が、あと何年生きるのかという予測数字です。
各年齢の人が、あと何年生きるかは、「平均余命」をみると分かります。

健康寿命とは

世界保健機関(WHO)の定義によると、健康寿命とは、平均寿命から“日常的・継続的な医療・介護に依存して生きている期間”を除いた期間を指しています。
国が進めている国民運動の「健康日本21(第二次)」によれば、健康寿命とは「日常生活に制限のない期間」を指すことが一般的です。

このほかに、「健康だと自覚している期間」や「日常生活が自立している期間」とする指標もあります。

京都府民の平均寿命と健康寿命は…

2013年の統計によれば、

  • 男性:平均寿命80.21歳。健康寿命70.21歳。日常生活に制限がある期間は約10年間。
  • 女性:平均寿命86.61歳。健康寿命73.11歳。日常生活に制限がある期間は約14年間。

健康寿命は、男女とも全国都道府県の中で45位の低さです。健康寿命と平均寿命の差(日常生活に制限がある期間)が縮まることが重要ですが、全国傾向ではもう10年以上、この差が縮まらないのが実態です。

健康長寿社会の実現に向けて

厚生労働省が長寿社会の実現に向けて進めてきた「健康日本21」の取り組みは、第一次が2002年~2012年の期間で、メタボリックシンドロームの周知や、8020運動(80歳で歯が20本あることを目指す)などが中心でした。現在進めている第二次は、2013年~2022年の期間で、「すべての国民が共に支えあい、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会」であることを目指して、以下の5つの方向性を挙げています。

①健康寿命の延伸と健康格差の縮小

日常生活に制限のない期間を長くしよう!都道府県の健康状態の差を縮めよう!

②生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
  • がん:検診受診率UPなど
  • 循環器疾患:高血圧の改善、メタボDOWN、特定健診・特定保健指導の実施率UPなど
  • 糖尿病:新規透析導入DOWNなど
  • COPD:認知度UP
③社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
  • こころの健康:職場でのメンタルヘルス対策など
  • 次世代の健康:健康な生活習慣を持つ子どもの増加(1日3食食べている子を増やす、妊婦の喫煙を減らすなど)など
  • 高齢者の健康:社会参加の促進、虚弱化の予防、ロコモティブシンドロームの認知度UPなど
④健康を支え、守るための社会環境の整備

楽しく主体性を発揮できる健康づくりの場をつくり、健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国民の増加。

⑤生活習慣の改善及び社会環境の改善
  1. 栄養・食生活の改善
  2. 身体活動・運動を適切に
  3. 休養をとる
  4. 飲酒はほどほどに
  5. 歯・口腔の健康を守ろう

Smart Life Project

厚労省では、以上の方向性をふまえ、具体策としてスマートライフプロジェクトを打ち出し、自治体や企業の賛同を募っています。プロジェクトの3本柱であるSmart Walk(運動)と、Smart Eat(食生活)、Smart Breath(禁煙)で、健康寿命を延ばしましょう。

  • 適度な運動:毎日、プラス10分の運動を。ながらエクササイズ(調理しながら足踏みなど)も良い。
  • 適切な食生活:毎日、プラス1皿の野菜を。朝食をしっかり食べる。
  • 禁煙:たばこは百害あって一利なし。たばこの煙をなくす。

これらに加えて定期的な健康診断で自分を知って、これら3つのアクションに取り組んでみましょう。

運動不足による死亡

2007年の統計では、生活習慣が危険因子となった死亡数は以下の通りです。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

ロコモティブシンドローム

「ロコモ」と略されるこの状態は、運動器(骨・関節・筋肉・神経)の障害のために自立度が低下し、介護が必要となる危険性が高い状態を指します。

ロコモ対策には、適度な運動が必要です。でも「適度な」とは、どうすればいいんでしょう。以下の基準を参考にしてください。

メッツとは

表の中にも出てきた「メッツ」とは、国が定めた「身体活動の強さ」の基準で、安静時と比べて、何倍にあたるかを示します。

座って安静にしている状態=1メッツ、普通に歩く=3メッツです。
生活活動と運動ごとに個々の活動の強さをメッツで示し、継続時間とともに指標としています。

生活活動の例
  • 1メッツ:安静にしている。座ってテレビを見る。
  • 1.5メッツ:読書、入浴、友人との談笑。
  • 2メッツ:調理、洗濯、ゆっくり歩き。
  • 2.5メッツ:ゴミ出し、花の水やり、ベビーカーを押して歩く。
  • 3メッツ:歯磨き、犬の散歩、もう少し早く歩く。
  • 3.0~3.8メッツ:平地での早歩き(3)、掃除機をかける(3.5)、風呂掃除(3.8)
  • 4メッツ:自転車に乗る、車いすを押す、介護。
  • 4.5メッツ以上:耕作(4.5)、庭の草むしり(4.5)、階段を上がる(8.0)

運動の例
  • 2.5メッツ:ヨガ、ストレッチ、軽いボール投げ。
  • 3.0メッツ:ボウリング、自転車エルゴメーター、ストレッチ。
  • 4.0~4.5メッツ:卓球(4.0)、水中歩行(4.0)、ゴルフ(カート未使用:4.5)
  • 5.0メッツ以上:野球(5.0)、山登り(7.5)、水泳(6.0~11.0)

身体活動チェック

以下のチェック表をもとに、あなたの健康のための身体活動をチェックしてみましょう。

プラス(+)10から始めよう

健康寿命を延ばすために必要なことは

  • 気付く!:体を動かす機会や環境は、身の回りにたくさんあります。それが「いつなのか?」「どこなのか?」、ご自身の生活や環境を振り返ってみましょう。
  • 始める!:今より少しでも長く、少しでも元気に体を動かすことが健康への第一歩です。プラス10から始めましょう。
  • 達成する!:目標は、1日合計60分、元気にからだを動かすことです。高齢の方は、1日合計40分が目標です。これらを通じて、体力アップを目指しましょう。
  • つながる!:1人でも多くの家族や仲間とプラス10を共有しましょう。一緒に行うと、楽しさや喜びが一層増します。

まずは「+10」から始めましょう

-医療, 洛和会東寺南病院

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